この記事では、「仮説」と「推論」の違いを分かりやすく説明していきます。
「仮説」とは?
ある事柄を説明するために仮に立てる説です。
実験や観察などによって正しいことが証明されれば定説となります。
キリンは母系社会を形成しているといわれています。
キリンは群れを作って行動をする生物です。
動物園で見ると単独で行動しているように感じますが、野生では小さな群れを形成しています。
メスの集団が形成されることがあり、その集団の中で母と子が15年以上の関係を持っていたり、母子の関係でないものが6年ほど行動を共にしていたりすることが観察されています。
3世代で行動をすることもあり、自分以外の子の世話をするメスがみられます。
キリンの寿命は30年ほどで、生殖能力があるのは20年ほどです。
メスが閉経を迎えてからも生存し続けるのは、生存率を向上させるためだと考えられています。
これは「おばあちゃん仮説」といわれています。
長生きすることで群れの生存率が向上するというのは、考えにすぎません。
まだ本当であると確かめられたことではないです。
しかし、閉経後も生き続けることを合理的に説明するための説といえます。
仮の説なので「仮説」です。
「仮説」の使い方
ある物事を説明しやすくするために仮に立てる説を指して使用する言葉です。
事実とは違います。
「推論」とは?
ある事実をもとにして、はっきりしていない事柄についておしはかり、筋道を立てて述べることです。
事実をもとにして述べていることであり、何もわかっていない状態で何かを述べているのではありません。
ピアノの色について考えてみます。
海外では木目調のものもありますが、日本で販売されているピアノは黒が多いです。
日本人は黒に高級感を持っているようです。
高級車は黒が多く、格式高い場所に行くときには黒の服を着ることが少なくありません。
ピアノは高価なものです。
そこに黒のイメージがあわさって、黒のピアノが多いと考えられます。
高級車は黒が多い、格式高い場所では黒の服装などは、客観的にわかっていることです。
このことから、なぜピアノが黒なのかというはっきりしていない事柄についておしはかっています。
事実から未知の事柄をおしはかっているので「推論」といいます。
「推論」の使い方
わかっている事実から、わからない事柄をおしはかって述べるという意味で使用をします。
「仮説」と「推論」の違い
どちらの言葉も確かではない事柄を指しており、その点は似ているのですが、それぞれの言葉の意味は異なります。
前者は仮の説です。
後者はおしはかって述べることです。
「仮説」の例文
・『仮説を検証してみる』
・『いくつかの仮説がある』
「推論」の例文
・『推論をしてみた』
・『それは推論にすぎない』
まとめ
確かでない事柄の意味合いがある2つの言葉ですが、仮の説、おしはかって述べることと、それぞれの言葉が意味しているものは違います。