「併せて」と「合わせて」と「重ねて」の違いとは?

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「併せて」の意味とは?

「併せて」の意味は、「異なるものを一緒にすること・二つ以上のものを融合(合計)させること」「二つ以上の物事を同時並行で行うこと」になります。

「併せて」の言葉は、「塩化ナトリウムと純粋を併せて食塩水を作りました」「二人の貯金を併せて電子レンジを買いました」といった文章で使われるように、「異なるものを一緒にしたり合計したりすること」を意味しています。

また、「併せて」「料理とメールチェックを併せて行っています」のように、二つの物事を同時並行で行うことも意味しています。

「合わせて」の意味とは?

「合わせて」の意味は、「二つ以上のものをくっつけ合わせること」「二つ以上のものを並べたり添え合わせたり(組み合わせたり)すること」を意味しています。

「合わせて」という言葉は、「併せて」のような「二つ以上のものを融合(合体・ミックス)させる」というほどの意味合いは持っていないのです。

例えば、「朝ごはんには、ご飯と納豆を合わせて食べます」「この文章とグラフを合わせて読んでいます」というように、「合わせて」は二つ以上のものを組み合わせる(軽くくっつけ合わせる)といった意味合いを持っているのです。

「重ねて」の意味とは?

「重ねて」の意味は、副詞的に使われる時は「繰り返して・再び・何度も」になります。

動詞として「重ねて」が使われる場合には、「積み重ねること・洋服を何枚も着ること(かさね着すること)」という意味になります。

「重ねて」という言葉は、ビジネスシーンだけではなく結婚式・成人式などのフォーマルな式典でも使われることのある言葉であり、「重ねてよろしくお願い申し上げます」「重ねてお礼を申し上げます」「重ねてお祝いを申し上げます」などの定形的な文章で「何度も・繰り返して」の強調の意味で使用されます。

「併せて」と「合わせて」の違い

「併せて」「合わせて」の違いは、「併せて」「異なるものを一緒にすること(異なるものをミックスして同化させること)」を意味するのに対して、「合わせて」の方は「二つ以上のものを組み合わせること・軽く添え合わせること」を意味しているという違いがあります。

「合わせて」の言葉には、「併せて」が持っている「異なるものをミックス(混合)して一体化させること」までの意味合いはないのです。

また、「併せて」にある「異なる物事を同時並行で進めていくこと」の意味も、「合わせて」という言葉にはありません。

「併せて」と「重ねて」の違い

「併せて」「重ねて」の違いは、「併せて」「異なるものを一緒にすること」を意味していますが、「重ねて」の方は「何度も・繰り返し」を意味しているという大きな違いがあります。

例えば、「大切な事項については重ねて指摘してきました(何度も繰り返し指摘してきました)」という文章を、「大切な事項については併せて指摘してきました(別の事項と同時並行で指摘してきました)」というように書き換えると、まったく異なる意味の文章になってしまうのです。

「合わせて」と「重ねて」の違い

「合わせて」「重ねて」の違いは、「合わせて」「二つ以上のものを組み合わせること・軽く添え合わせること」を意味しているのに対して、「重ねて」の方は「何度も・繰り返し」を意味しているという大きな違いがあります。

例えば、「お酒にスルメを合わせてみると最高のつまみになります」という文章を、「お酒にスルメを重ねてみると最高のつまみになります(お酒の上にスルメを載せると最高のつまみになります)」に書き換えると、ほとんど意味の通らないおかしな文章になってしまいます。

「併せて」と「合わせて」と「重ねて」の使い分け

「併せて」「合わせて」「重ねて」の使い分けの仕方について、具体的なケース(使用例)を紹介しながら説明します。

「併せて」を用いるケース

「併せて」を用いるケースは、「異なるものを一緒にする場合(異なるものをミックスして同化させる場合)」「二つ以上の物事を同時並行的に進める場合」になります。

例えば、「溶質と溶媒を併せて新しい水溶液をつくります」「二つの地域を併せて新しい国家を樹立します」「二つの書類を併せてご確認ください(二つの書類を同時並行で確認してください)」などのケースにおいて、「併せて」の言葉を使えます。

「合わせて」を用いるケース

「合わせて」を用いるケースは、「(融合・合体まではせずに)二つ以上のものを組み合わせる時・軽く添え合わせる場合」になります。

例えば、「パンにスクランブルエッグを合わせて朝食にしました」「ボーダーシャツには無地のベーシックなパンツを合わせています」「二人の力を合わせて問題を解決しました」「時計を合わせています」などのケースにおいて、「合わせて」の言葉を使えます。

「重ねて」を用いるケース

「重ねて」を用いるケースは、「繰り返し(再び)何かを言ったりしたりする場合」「何かを積み重ねる場合」になります。

「重ねて」はビジネスシーンやフォーマルな式典で、「重ねてお願い申し上げます」「重ねてお祝いを申し上げます」「重ねて拍手をお願いします」「重ねて感謝の気持ちをお伝えします」などの慣用的な文章の形で用いられるケース(使用例)が多くなっています。

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