「元の鞘に納まる」とどんな様子を表しているのでしょうか。
今回は、「元の鞘に納まる」の意味と類語について解説します。
「元の鞘に納まる」とは?意味
「元の鞘に納まる」とは、「仲が悪くなり関係が離れていた人同士が再び関係を回復し元通りになること」を意味する言葉です。
「元の鞘に納まる」の概要
「元の鞘に納まる」の「鞘」とは刀を納めておくケースのことです。
武士が腰に指す刀は鋭い切れ味を持つ刃物でありむき出しのまま持ち歩くのは大変危険です。
平常時には鞘と呼ばれる専用の収納ケースに納めて腰に差し戦闘時にのみ鞘から抜いて武器として用います。
日本刀は鍛造と呼ばれる一振りずつ鎚で打って鍛える製法で製造されます。
溶けた金属を型に流し込んで作る鋳造だと全て同じ形のものを作れるのですが、鍛造は一振りごとに手作りのオーダーメイド仕上げなので同じような長さや反りで作っても一振りごとに微妙に形状が異なります。
日本等を治める鞘は刀の長さや反りにぴったり合うのが理想です。
鞘に余裕があると刀を納めてもガタついてしまい具合がよくありません。
一流の刀を納める鞘は刀身を計測しぴったり合うサイズで製造されるため別の刀とは形状があわず上手く納まりません。
異なる刀と鞘の組み合わせでは反りが一致せず上手く納まらないことから性格があわないことを「反りがあわない」と表現することからもわかるように、刀と鞘の組み合わせはぴったりとあう相性のいいものの例えとして使われています。
「元の鞘に納まる」というのは「別の鞘で試してみたが上手くあうものがなく結局は最初に使っていた鞘の具合が最も良い」ということを意味します。
離れてしまった二人の関係を刀と鞘に見立て「別の人間と関係を結んでみたが思うようにいかず巡り巡って最終的には最初の関係に落ち着くこと」を「元の鞘に納まる」と表現します。
一般的には「仲違いして別れた男女が再び結ばれること」という意味で使われることが多いのですが、男女の関係以外に用いても間違いではありません。
友人や師匠と弟子、雇用関係などにおいても「関係が悪くなりいったん離れたが元通りの関係になること」は「元の鞘に納まる」です。
「元の鞘に納まる」の言葉の使い方や使われ方
・『紆余曲折あったが結果的には元の鞘に納まる』
・『相性は悪くないので元の鞘に納まるのも納得できる』
・『元の鞘に納まる前にきちんと謝罪すべきだ』
・『周囲にきちんとけじめを付けず元の鞘に納まるのは不義理が過ぎる』
「元の鞘に納まる」の類語や言いかえ
・よりを戻す
「関係を断った男女が再び関係を取り戻し結ばれること」を意味する言葉です。
男女の関係が戻るときのみに使われる表現でやや古めかしい言い方ですが現在でも普通に使われています。
・復縁する
「男女の間で切られた縁を取り戻し再びパートナーになること」を意味する言葉です。
恋人は夫婦など恋愛関係において使われる表現ではっきりとした別れの後に再び恋愛関係になることを指します。
まとめ
「元の鞘に納まる」は主に恋愛関係で使われることが多いですがそれ以外にも様々な人間関係に使える言葉です。
現在は若い人たちを中心に「元の鞘に納まる」を省略し「モトサヤ」という言い方も使われているほど浸透している表現なので覚えておきましょう。