この記事では、「充当」と「相殺」の違いを分かりやすく説明していきます。
「充当」とは?
「充当」には2つの意味があります。
一つは、集団や組織を構成する人たち、金銭、物品などをある目的や用途に振り分けることです。
たとえば、賞与を受けたとします。
大きな金額が入ったとき、何に使おうか考える人は少なくないことでしょう。
ある人は、大きな出費があったときに使おうと考えました。
これは「賞与を大きな出費に充当する」ということができます。
もう一つの意味は、債務者が同一の債権者から複数の債務を負担しているときに、債務者の弁済がすべての債務をなくすに十分でないとき、提供された弁済をどの債務に当てて債権をなくすかを定めることです。
「充当」の使い方
日常的には、人や金品をなにに当てるかという意味で使用されています。
2つめの意味は、債務・債権があるものが使用することが多いです。
「相殺」とは?
「相殺」には2つの意味があります。
一つは、あるものからあるものを引いて、互いに損得がないようのすることです。
また、よい点が差し引かれてなくなることです。
Aさんは素晴らしい実績を出して評価されていました。
しかし、あるとき大きな失敗をしてしまい、評価がなくなってしまいました。
素晴らしい実績はよい点です。
大きな失敗は悪い点です。
この出来事は、よい点を悪い点が消してしまっています。
ある事柄からマイナスされてゼロになっているようなものです。
このようなことを「相殺」といいます。
もう一つの意味は、二者の間で同種の債権がある場合、互いの債権を対当額だけ差し引いてなくすことです。
AさんはBさんからテレビを5万円で購入しました。
しかし、まだ支払いをしていません。
BさんはAさんからバッグを10万円で購入しました。
しかし、まだ支払いをしていません。
AさんとBさんは互いに支払う義務があります。
このとき、実際に金銭を支払ってもよいのですが、双方の債務を対当額でなくしてしまうこともできます。
バッグ代10万円からテレビ代5万円を引くのです。
すると、BさんはAさんに5万円を支払えばよいことになります。
このように債権をなくしてしまうことをいいます。
「相殺」の使い方
日常的には、差し引きによって差がなくなることを指して使用します。
債務や債券があるものは、2つめの意味で使用することがあります。
「充当」と「相殺」の違い
どちらも債務・債権に関係する言葉です。
前者は弁済を何に当てるかを意味しています。
後者は互いの債務をある価値に相当するもので消滅させることです。
「充当」の例文
・『イベントの費用に充当します』
・『支援に充当される予定です』
・『ポイントを支払いに充当する』
「相殺」の例文
・『二酸化炭素排出量を相殺する』
・『これで相殺された』
・『魅力が相殺されてしまっている』
まとめ
それぞれの言葉には2つの意味があり、債務や債券に関する意味が似ています。
しかし、同じことを指しているのではありません。