作文などを仕上げているとき、「全身」と「渾身」の違いが分からずに途方に暮れることがあります。
この記事では、「全身」と「渾身」の違いを分かりやすく説明していきます。
用語の違いを知って、文章力をアップさせていきましょう。
「全身」とは?
全身とはからだ全体のこと。
通常は頭のてっぺんから、足のつま先までをあらわします。
その人すべてという意味があって、同じ意味の言葉に総身(そうしん)があります。
「全身が痛い」というと、からだ全体が痛いという意味になります。
「全身」は眼や歯・肩など特定の箇所と、区別したいときにも良く用います。
たとえば全身麻酔というと、からだ全体にかける麻酔のこと。
からだの一部分にかける局所麻酔と区分けしたいときに用います。
また「全身」にはまっしぐらに・一生懸命にという意味もあります。
「全身全霊で取り組みます」というと、持っている能力をすべて出し切りますという意味です。
無精をしないで本気で挑戦したいときにも「全身」という言葉は利用されます。
「渾身」とは?
全身とよく似た言葉に「渾身」(こんしん)があります。
渾身も全身のこと。
からだの全部をあらわす言葉になります。
同じような意味の言葉に五体などがあります。
渾身の「渾」は泉がこんこんとわき上がる様子をイメージして作られた漢字です。
わき上がった水は、やがて1つの川になるので「渾」には「もろもろ・すべて」という意味があります。
「身」は肉体という意味があるので、渾身は肉体すべて・からだ全体という語彙になります。
渾身には「全力」というニュアンスも含まれています。
渾身の力を振りしぼるというと、持てる力をすべて出し切るという意味になります。
渾身の力を込めてというと、ベストを尽くすという内容になります。
本気でぶつかり合うときに用いられる表現です。
「全身」と「渾身」の違い
どちらも体をあらわす「身」が付いているので、どちらを使うべきか判断に困ることもあります。
「全身」と「渾身」の違いを、分かりやすく解説します。
・クリニックでは「全身」
全身も渾身もからだの全てをあらわす言葉です。
ただ医学の世界で用いるときは「全身」をつかいます。
全身麻酔や全身脱毛・全身ドッグも、医療の世界でつかわれている言葉です。
病院や脱毛サロンでからだ全体のことを指す場合は、渾身と言わず全身というので注意しておきましょう。
・本の宣伝は「渾身」
また全力をあらわしたい時は、全身と渾身どちらも使います。
どちらも同じ内容の言葉ですが、見た目の迫力がすごいことから「渾身」を好んでつかう編集者やコピーライターもいます。
渾身の一撃・渾身のデビュー作といった具合につかいます。
まとめ
からだ全体という意味があたるのが「全身」と「渾身」です。
どちらも同じ意味合いの言葉ですが、クリニックなどの医療の世界で使われるのは全身です。
渾身は言葉の響きから、近年では本のキャッチコピーなどに用いられています。