似たような状況で使われていて読みが同じ間違えやすい言葉として「出展」と「出店」があります。
どちらも普通に使われている言葉ですがどのような違いで使い分ければいいのでしょうか。
今回は、「出展」と「出店」の違いについて解説します。
「出展」とは?
「出展」とは「展示会や展覧会などに作品を提出すること」という意味の言葉です。
「絵画や彫刻などの作品を飾るために行われるイベントに対して飾るための作品を出すこと」を指して「出展」と表現します。
「出展」の「展」には「ならべる」「ひろげる」という意味があり、イベントで並べられるための作品を提出する行為が「出展」です。
基本的には絵画や彫刻などの作品を提出することを指す言葉で人間に対しては使われませんが、技術の実演など人そのものを多くの人に観てもらう目的でイベントにブースを出すときなどには「出展」という言葉が使われます。
「出展」の使い方
・展覧会に出展した絵が優秀賞に選ばれた。
・展示会に出展した新製品の詳細を尋ねる問い合わせが殺到している。
・作品展に出展する彫刻を仕上げるため寝ずに作業している。
・イベントを盛り上げるために多くの芸術家に自作の出展をお願いした。
「出店」とは?
「出店」とは、「お店を新しく開くこと」という意味の言葉です。
本来の「出店」の意味は「新規開業」とほぼ同義ですが現在では「イベントや催し物などに参加しそこで商売を行うこと」という意味でも使われています。
お祭りに屋台を出して食べ物を売ったり展示即売会に参加して商品を販売したりなど「主催者の呼びかけに応じて参加し商売をすること」を指して「出店」と表現します。
出すものは「店」なので商売の要素は必須です。
お金をもらって商品やサービスを提供するのが「店」でありタダで品物を配ったり商取引を行わない場合は「出店」という表現は使われません。
「出店」の使い方
・関西で人気のレストランチェーンが関東にも出店した。
・展示即売のイベントに出店して宝石を販売する。
・人気のラーメン屋がフードコートに出店する。
・食のテーマパークに出店した店の中で一番の売上を記録した。
「出展」と「出店」の違い
「出展」と「出店」の違いは「商品を売るか売らないか」です。
「出展」は絵画や彫刻など作品をイベントに提出することを指します。
イベントで技術などを披露するために参加するという意味でも使われますが目的は広告や宣伝などであり、金銭と引き換えに直接商品を販売するためではありません。
「出店」は金銭と引き換えに商品やサービスを売ることを目的にしています。
店舗に客を集め商品を販売し利益を上げるために行われる商取引のための行為を指します。
展示会や展覧会など鑑賞することを目的とする集まりに作品やブースを出すことを指すのが「出展」、商売をするために違う場所に新しくお店を開くことを指すのが「出店」という違いがあります。
まとめ
「出展」と「出店」は似たようなシチュエーションで使われることが多い言葉なので混同されがちですが、本来の意味は全く異なります。
それぞれの言葉の保つ意味をきちんと理解しケースに応じたふさわしい表現を使いましょう。