「剣呑」
剣呑は、2つの意味のある言葉です。
片方の意味で使う場合には、別の言葉の代用となるので、そちらではないメインとなる方について解説していきます。
尚、そちらの方も元は別の言葉で、それが変形してこの「剣呑」となりました。
そのような経緯も含めて、しっかり覚えておきましょう。
「剣呑」の意味
この「剣呑」は意味の前に、まずその読み方からです。
「けんのん」と読むのがここで主に紹介する方の意味の読み方で、「危険な様子」や「張り詰めた様子」、または直接「危ない」などと注意喚起する代わりに使います。
そして、もう1つの「けんのみ」と読む方の意味は、誰かを「叱りつける」ことで、こちらは「剣突」(けんつく)の代用としての使われ方です。
実際にこちらの意味で「剣呑」と使うことはほほとんどなく、そのような意味もあるという程度に覚えておけばいいでしょう。
「剣呑」の言葉の使い方
剣呑は、意味のまま危険だと思われることや、そのような場面に対して使う言葉です。
「剣呑だと思った」と使えば、「危険だと(危ないと)思った」という意味になり、特に使い方が難しい言葉ではありません。
「剣突」の代用として使う時には、「剣突された」などという形になり、意味は「説教を食らった」と解釈しておけばいいでしょう。
「剣呑」を使った例文・短文(解釈)
剣呑を使った例文や短文です。
「剣突」の方の意味での使い方も1つ含めておきます。
「剣呑」の例文1
「近くで火事があったので見に行ったが、とても剣呑な様子だったのですぐに帰ってきた」
火事や比較的大きな事件は近くで起こると、ついその様子を見に行きたくなってしまうものですが、場合によっては危険なことも多いので、野次馬根性もほどほどにしておきましょう。
この「剣呑な様子」という使い方はよく見聞きする表現なので、覚えておいて損はありません。
「剣呑」の例文2
「さっきから、あそこの二人の様子がとても剣呑に見える」
剣呑を「張り詰めた様子」という意味で使っている例文です。
「剣呑な空気」という表現もよく使われ、この場合には「険悪なムード」だと言い換えることができます。
張り詰めたという表現の解釈にも複数ありますが、剣呑によってそれを表す時には、悪い意味で張り詰めている(危険だという場合も含めて)と考えてください。
「剣呑」の例文3
「剣呑、剣呑!そこに居たら危ないよ」
剣呑は、「危ない」という言葉の代わりにもなります。
そのように使う場合には、この例文のように二回繰り返すのが一般的です。
この使い方では、「注意しろ」、「危険だ」と言っているのと同じで、最近ではあまり聞かないかもしれませんが、いざそういった場面で聞いた時に、意味を知っているのと知らないのでは大違いです。
是非ともこの機会に覚えておいてください。
「剣呑」の例文4
「新入部員への洗礼とも言える剣呑(けんのみ)を受けた」
体育会系の部活では、入部時にこのような叱咤などを受けることも少なくありません。
こちらの意味で使う「剣呑」は、その「叱咤」と言い換えてもいいかも知れません。
「剣呑」の由来・語源
危険な様子を表現する方の「剣呑」は、元は「剣難」(けんなん)という言葉で、それが変形してできた言葉です。
「剣難」は「剣(刃物)で襲われるほどの難(危ない様子)」からきている言葉で、読み方の「なん」が「のん」と変化していった過程で、漢字での表記もそれに伴って「難」(なん)から「呑」(のん)になったと推察されます。
この「呑」は、「呑べえ」(のんべえ、大酒飲み)という言葉などで見掛けることが多いですが、読みを当てているだけで、そのような意味は全く含んでいません。