退職をイメージさせる言葉に「勇退」と「退任」があります。
この記事では、「勇退」と「退任」の違いを分かりやすく説明していきます。
今さら尋ねにくい語彙の内容を、しっかり学んでおきましょう。
「勇退」とは?
勇退(ゆうたい)とは、自分の意思で役職を辞めること。
自分から進んで、退職することです。
現職を離れるときも、この言葉を用います。
勇退には勇気で知られる「勇」の字がはいっています。
勇には積極的に、思いきり良くというニュアンスがあります。
そのため誰かにつき動かされてやるのではなく、自分で積極的に取り組んでいくという空気も含んでいます。
受け身ではない、とても自発的な言葉です。
使い方としては「若返りをねらって、役員が勇退した」や「勇退した上司に、温かい拍手が送られた」や「今シーズン限りで勇退するサッカー選手を、一目見ようとファンが集まった」などがあります。
「退任」とは?
退任(たいにん)とは、仕事や職務を辞めること。
今まで担当していたポストから外れることです。
退任の「退」には後ろに下がるや、身を引くという意義があります。
試しに「退」の付く熟語を調べてみると、退職・脱退・退社などがあります。
また「任」はその人の役割のこと。
役職のことです。
そのため退任で、今ある役職から身を引くとなります。
具体的な例文としては「私事で恐縮ですが、今月末をもって退任いたします」や「首相が突然の退任を表明した」や「病気療養のため、支店長が退任する」などの文言があります。
「勇退」と「退任」の違い
よく見る言葉ほど、使い分けが難しいこともあります。
「勇退」と「退任」の違いを、分かりやすく解説します。
・勇退には「ねぎらい」の気持ちも
任期満了になったとき、目にするのが「勇退」と「退任」という二文字です。
どちらも「退職」をあらわす「退」が入っているので、よく似た言葉に思えます。
ところが少しずつ意味合いは異なっているので、正しく使い分けすることが大切です。
勇退は「自分の意思で辞めるとき」に用いる言葉。
対して退任は「辞める理由は問わずに、どんなシチュエーションでも使える」便利な言葉です。
また「勇退」はヒーローを称えるような「賞賛」の意味合いもあります。
収まりのいい辞め方をする人に対しては「勇退」を。
気持ちのいい送り出しができる言葉です。
まとめ
「勇退」と「退任」の違いを分かりやすくお伝えしました。
どちらも「職を辞する」という意味で用いられます。
勇退は業績を残した方に、感謝の思いをこめて用いる言葉。
勇退にはその人の強い意思で辞めるという意味合いもあります。
一方で「退任」は、現職からしりぞくということ。
「辞めること」に重きを置いた、シンプルな表現になります。
上司やお世話になった人の退職をあらわすときは「勇退」。
自分の退職をあらわすときは「退任」です。
失礼にあたらないように、今のうちに勉強しておきましょう。