ビジネスシーンでよく聞かれる言葉の中に、「同行」と「帯同」があります。
しかしながら、改めて考えてみるとそれぞれの意味が曖昧です。
この記事では、「同行」と「帯同」の違いを分かりやすく説明していきます。
「同行」とは?
どこかへ出かける際に、一緒に行くという意味です。
ニュアンス的には、誰かに自分が付きそうという意味で、自分主導で出かけるわけではありません。
相手が出かける前提で自分が付いていくときに使用する言葉です。
「同行」の使い方
『〇〇さんに同行する』というように使います。
もしも上司から、『Aが着任のあいさつに行くから同行してやってくれ』と言われたら、お目付け役で付き添ってやって欲しいという意味です。
あいさつをしなければならないのはAさんですが、一人で行かせるのは心もとないから、一緒に行きなさいという意図で命令しています。
あくまでもAさんが主役なので、お目付け役という重要な任務ではありますが、同行という言葉が使われるのが正解です。
「帯同」とは?
表面な意味で捉えれば、同行と同じく一緒に行くという意味になります ただし、帯同の場合は自分が行くという前提で誰かが付いてくるというニュアンスです。
「帯同」の使い方
『今回の出張には、〇〇が帯同してくれるので助かる』というように使います。
上司が、一人で行くには大変だから、サポート役としてAを帯同しても構わないと配慮してくれたわけです。
このように自分が行くという事実が前提になる場合には、帯同を選ぶのが正解です。
「同行」と「帯同」の違い
「同行」と「帯同」の使い分けは、出かけるという行為において誰が主として動くのかで決まります。
相手の都合で出かける際に自分が付き添う立場なのであれば、同行すると言います。
一方の帯同の場合は、自分が出かける際に誰かが付き添ってくれる状況下で使います。
ただし、「同行」と「帯同」は同じような意味なので使い分けをするのが正しいのですが、一筋縄ではいかないのがビジネスシーンです。
何故かというと、立場や年齢が上の人を敬い、謙譲語や尊敬語を使わなければならないからです。
自分がメインとなって動く仕事であったとしても上司の顔を立てるために言葉を選ばなくてはならない場面は少なくありません。
また、馬鹿正直に口にしたことで上司や取引先の期限を損ねてしまう可能性があります。
自分がメインであったとしても、付き添いの立場を装う必要があるかもしれないので、臨機応変に使い分けしましょう。
まとめ
なんともややこしい「同行」と「帯同」です。
『悪いが、一緒に行ってやってくれ』 『必要なら助手を一人くらい連れて行ってもいいぞ』 このようにシンプルな言葉に言い換えることもできますが、好んで「同行」と「帯同」を使い分けている人たちも相当数存在します。
言われて混乱しないよう、自ら使わないまでも理解して備えておくのは無駄にはなりません。