「名を冠する」とは?意味や使い方を解説

ことわざ・慣用句

「名を冠する」

この「名を冠する」(なをかんする)は、歴史のある対象や、いわゆるスポンサー(協賛者や応援している人、団体)が付いている対象がそうだという場合が多いです。

大抵の場合はいい意味で使われる言葉ですが、必ずしもそうとは限りません。

ですが、悪い意味として使う場合には、それだと分かる文体中で用いられるので、すぐにそうだと解釈できるでしょう。

「名を冠する」の意味

名を冠するは、本来の名称(主にその前)に別の名称が付いていることを表す言葉です。

その別の名称のことを「冠」と表現し、「冠名」(かんむりめい)と呼んでいます。

例を挙げると、プロ野球のオールスターゲームの正式名称には、毎年メインスポンサーとなっている企業の名前が「冠」として付いています。

2018年は「マイナビオールスターゲーム2018」で、この「マイナビ」(転職サイトなどを運営する会社)が冠名という訳です。

よって、この2018年のオールスターゲームは、「マイナビ」の名を冠すると表現します。

その他にもこのような例は多数存在しているので、日常でもよく見掛けるでしょう。

「名を冠する」の言葉の使い方

名を冠するを使う場面は、自分が何かそのような対象に関係のある時、または、何かの名称に対して、これが冠名だと解説するような場面でも多々用いられます。

「名を冠している」と使うことも多く、スポンサー関係以外では、先祖代々その苗字だと(苗字が冠名に相当し、そこから歴史上で有名な人物の子孫などという意味で)使っているケースが見られます。

真偽は分かりかねますが、元フィギュアスケート選手の織田信成氏は、あの織田信長の子孫だというニュースになったことがあり、これによると、「彼はあの信長の織田を冠している人物だ」などと表現できます。

「名を冠する」を使った例文・短文(解釈)

名を冠するを使った例文や短文です。

難しい使い方をする言葉ではないので、これらによって使い方がよく分かるでしょう。

また、悪い意味で使っている例も挙げてみます。

「名を冠する」の例文1

「このレースは、「天皇」の名を冠するだけあって、競馬界で1、2を争う規模の大レースだ」

競馬の「天皇賞」こそがそのレースです。

毎年春と秋の2回開催され、春は4歳以上、秋は3歳以上の競走馬が出走できます(獲得賞金額などの条件もあります)。

春は3200mの距離で争われ、秋は2000mと大分違う内容のレースとなっていますが、その両方を勝った馬も過去に(2018年現在)6頭存在しています。

「名を冠する」の例文2

「あのブランド名を冠するイベントだけあって、かなり盛況だったらしい」

ファッションブランドが開催するイベントには、大抵そのブランド名が冠名として付いています。

その多くが「○○(ブランド名)サマーセール」などという形で、ブランド固有の名前ではなく、企画会社の名前ということも少なくありません。

例えば、有名な「楽天スーパーセール」は、そのまま「楽天」という名を冠しており、楽天のショッピングモール全体(そこに出店しているほぼ全ての会社)で行っているイベントです。

「名を冠する」の例文3

「あのメーカー名を冠するだけに、この商品も期待できそうにないな」

そのメーカーの以前の商品に大きな不具合があった、もしくは値段の割に性能が低かったなどの理由がある為に、同じメーカーの名前の付いた該当の商品にも期待ができないと使っている例です。

この例では、「名を冠する」を悪い意味で使っています。

こういったケースでは、「(あの)悪名を冠している」という形で表現されることもあります。

「名を冠する」の例文4

「彼は著名人と同じ名を冠することに逆に困っているらしい」

著名人と同じ苗字で、それが滅多に見ないようなものだと、何かその人物と関係があるのかと思われてしまってもおかしくありません。

ですが、大抵の場合は単に一緒だというだけで、何の関係もないことが多いと言えるでしょう。

例として、テニスで有名な「大坂なおみ」選手の「大坂」という苗字の人は、全国に約1万5千人存在します。

しかし、そのほとんどが本人とは無関係です。