水にまつわる建造物は、色々あります。
この記事では、「堰堤」と「堰」の違いを分かりやすく説明していきます。
堤防にまつわる知識を、正しくつけていきましょう。
「堰堤」とは?
堰堤(えんてい)とは、小規模の堤防のこと。
河川の流れをゆるやかにするために設けられた、建造物のことです。
堰堤は「砂防ダム」と呼ばれることもあります。
日本では古くから砂防ダムが作られてきましたが、とくに長い歴史をもつのが滋賀県にある「オランダ堰堤」です。
オランダ人の技術者によって制作されたことから、この名が付いています。
堰堤の目的は、土砂災害を防ぐこと。
山から流れてきた土や砂が堰堤にたまることによって、下流の民家に勢いよく流れるのを防げます。
これによって山津波や土石流など、大きな自然災害を防ぐ役割があります。
「堰」とは?
堰(せき)とは、水をせき止めておくための設備のこと。
川の水をコントロールするために、作られたゲートのことです。
堰には色々な種類がありますが、もっとも身近なものが河川につくられた「河口堰」です。
河口堰の目的は河川の水と、海の塩水が混じらないようにすること。
また河口堰があることで、海に流れ出す河川の量をコントロールできます。
これによって付近の工場や田んぼ、水道の施設に計画的に水を送れます。
またゲリラ豪雨や台風のとき、河川が洪水しないように、近隣の住民を守ることも堰の重要な仕事です。
街の平和と安定を支えているのが「堰」です。
「堰堤」と「堰」の違い
どちらも堤防のようなもので、区別がしにくいです。
「堰堤」と「堰」の違いを、分かりやすく解説します。
・山にある「堰堤」と、川にある「堰」
どちらもダムより「小さなゲート」をあらわします。
「水の流れをコントロールする」という役割は同じですが、どこに作られるかによって呼び名が変わっています。
一般的な「堰堤」は砂防ダムともいわれます。
山に近い場所につくられることが多く、その目的は土砂災害や山津波を防ぐことです。
そして「堰」は海に近い河川につくられます。
その目的は工場や農業でつかう水を、貯めておくことです。
また都心部の「堰」には、洪水を防いで水害から街を守るという重要な役割も担っています。
温暖化がすすみ、以前に比べてゲリラ豪雨が発生する回数も増えてきています。
私たちの暮らしに欠かせない水と、どう上手く付き合っていくか、その鍵をにぎるのが「堰堤」と「堰」です。
まとめ
「堰堤」と「堰」の違いを分かりやすくお伝えいたしました。
どちらも雨水や川の水を、せき止めるための建造物です。
「堰堤」は山あいに作られた、小型のダムのこと。
土や砂をためて、土石流の発生を防ぐ役割があります。
また「堰」は河川に作られた、大型のゲートのこと。
川の水が海に流れ出るのを防ぎ、工業用水や農業用水を確保する目的があります。
どちらも大規模な災害から街を守ってくれる、重要な建造物です。