この記事では、「売上原価」と「製造原価」の違いを分かりやすく説明していきます。
「売上原価」とは?
製品を購入して売るとき、もしくは、製造して売るときにかかる費用のことです。
売れた商品の原価だけを計算します。
例えば、1万円で売れた商品を5,000円で仕入れた場合、売上原価は5,000円ということになります。
売上から売上原価を引いた金額が、売上総利益になります。
売り上げた分だけを計算するので、期首に残っていた商品の額と、期間中に仕入れた額や製造した額を足し、期末に残っている商品を引いた式で求められます。
売上原価は、業界によって、計算に入れる費用が違います。
例えば、サービス業では、人件費は、売上原価ではなく、販売費及び一般管理費(販管費)にすることもあります。
それは、サービスの提供や、製品を作ることだけに従事しているのではないことや、サービスを行うことで新たに人件費が発生することもないからです。
会社によって、サービスを行う人の人件費を売上原価にすることもあります。
小売業では、売上原価の殆どを、商品の仕入れや材料費が占めています。
製造業では、材料費、労務費、経費などを足したものを売上原価として計算します。
「売上原価」は、商品を売る又は製造することに関して、直接的にかかった費用のことを指すので、業種によって、計算に含める費用が違ってきます。
「売上原価」の使い方
売上原価は何円だったというように使います。
企業会計で用いられる費用区分の一つなので、損益計算書などで使われています。
「製造原価」とは?
製品を製造するときに発生した原価のことです。
大きく分けると、「材料費」、「労務費」、「経費」の三つに分類されます。
材料費は、製品を造るのに使用した部品、ネジなどの材料のことです。
労務費は、従業員の賃金や、福利厚生にかかる費用などです。
経費は、それ以外にかかったものが入ります。
例えば、減価償却費や、光熱費、外注加工費などです。
この三つの費用には、「直接費」と「間接費」があり、それぞれ、直接材料費、間接材料費などと呼ばれます。
直接費は直接製品製造にかかった費用なので、そのまま計算されますが、間接費は一定の基準に従って、各製品に分けられて計算されます。
「製造原価」は、期首仕掛品棚卸高と、期間中に製造した費用を足し、期末仕掛品棚卸高を引いて求めます。
仕掛品とは、製造途中の製品のことです。
「製造原価」の使い方
工場で、製品の製造に使った費用をあらわすときに使います。
製造原価報告書を作成するときなどにも使用します。
「売上原価」と「製造原価」の違い
違いは、「売上原価」は、当期に売り上げたものの原価であるのに対し、「製造原価」は、当期に製造したものの原価だということです。
「製造原価」は、当期に造ったけれど、まだ売っていないものも入りますが、「売上原価」には入りません。
「売上原価」の例文
・『売上原価の計算方法が、以前の会社と違うので、一から覚えなくてはならない』
・『売上総利益と、売上原価の金額も大切ですが、率を計算することも大切です』
「製造原価」の例文
・『工業簿記の勉強中ですが、製造原価の計算で、製造間接費配賦のところがよく分からなくなりました』
・『製造原価の原価低減活動をして、コストを削減しました』
まとめ
どちらもかかった費用を計算するときに使いますが、計算する範囲が違います。
違いを知って、役立ててください。