「多生」と「他生」の違いとは?分かりやすく解釈

「多生」と「他生」の違い違い

いつも何気なく眺めている言葉でも、ふとした言葉の違いに驚かされることがあります。

この記事では、「多生」「他生」の違いを分かりやすく説明していきます。

ことわざでも良く使われる言葉なので、ぜひ正しくマスターをして言葉の引き出しを増やしていってください。

「多生」とは?

多生(たしょう)とは、何回も姿や形を変えながら、この世に生まれてくることを指しています。

たとえ亡くなったとしても、また新しい命を授かってこの世に生まれてくる…そんなイメージがわき上がる言葉です。

もともと多生は、仏教の概念から生まれた言葉です。

仏教には「輪廻転生」という考え方があります。

輪廻転生というのはどんな小さな物にも魂があって、この世に色々な姿で誕生してくるという意味があります。

虫でも動物でも人間でも、亡くなると今度は新しいステージが用意されていて、その人生を精いっぱい生きるという具合です。

多生は「多く生きる」と書きますが、それぞれの魂に「数えきれないくらい、多くの人生が刻まれている」ことをしめす言葉になっています。


「他生」とは?

他生(たしょう)とは、今の世の中から見た過去と未来のことです。

他生も仏教から生まれた、ありがたい意味がある言葉です。

仏教には現在のことを「今生」という言い方をします。

この今生以外の時間が、すべて他生に当てはまります。

具体的には前世と来世のことです。

仏教では、生き方や姿は変わるけれども「魂そのものは変わらない」という考え方をしています。

そのため前世で起きたことは、すべて今の人生に引き継がれます。

また今の人生に起きたことは、ゆくゆく来世に引き継がれていきます。

いい行いをしたら良い人生が待っていて、悪い行いをしたら悪い人生が待っているというのが他生のベースにある考え方です。

そのため辞書によっては「他生」のことを、ある原因によって引き起こされた問題…と訳している場合もあります。


「多生」と「他生」の違い

「多生」「他生」の違いを、分かりやすく解説します。

同じ読み方をしているので、うっかり間違えないようにしましょう。

言葉の意味を考えると、違いが何となくつかめてきます。

・袖振り合うも他生の縁

道端ですれ違った人とも、何かしらのご縁があるというのが「袖振り合うも他生の縁」の意味になります。

他生には前世と来世につながっている「現在の人生」という意味があるので、この場合は他生が正解になります。

同じ読みの「多生」はくり返し、姿や形を変えて生まれ変わることを表しています。

生まれ変わりを表す言葉ですが、辞書によっては「多生の縁」と漢字をあてがっても認めている場合もあります。

まとめ

「多生」「他生」の違いを改めてお伝えしました。

現代の生活では他人と袖がこすり合うことは少なく、あったとしても身構えてしまう場合が多いものです。

小さな出会いに感謝しながら、前向きに人生を送っていきましょう。

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