戦記物の作品や戦争シーンの描写で使われる言葉に「奇襲」と「強襲」があります。
どちらも特に注釈をつけることなく普通に使われている言葉ですが具体的にはどのような意味なのでしょうか。
今回は、「奇襲」と「強襲」の違いについて解説します。
「奇襲」とは?
「奇襲」とは「戦う相手が予想もしていない方法やタイミングで襲いかかること」という意味の言葉です。
戦闘で勝つために重要なのは「自分たちは力を十全に発揮できるが相手は本来の実力を発揮できない」ような状況を作り出すことです。
そのような有利な状況を作り出すために戦いを仕掛ける場所や時間、手段などを工夫し「相手の予想外の状況で攻撃を仕掛けること」を「奇襲」と呼びます。
成功すると相手が大混乱に陥る中で自分たちだけが一方的に攻撃できるという圧倒的に有利な状況を作り出せます。
少数で大軍に勝つことも不可能ではなく、「奇襲」は寡兵で勝利するための知略として用いられます。
相手の不意をついて行われる攻撃なので一般的には罠や策略などと同じく弱者が用いる戦術とみなされます。
「奇襲」の使い方
・敵軍の休息中に奇襲を仕掛ける。
・少数精鋭で背後の崖から奇襲を仕掛けた。
・奇襲が失敗すれば逆に窮地に陥ってしまうだろう。
・もはや残された手は奇襲しかない。
「強襲」とは?
「強襲」とは「力を頼みに強引に攻撃すること」という意味の言葉です。
「事前の準備をしっかり整えた上で小細工を用いず正々堂々と正面から襲いかかる攻撃」が「強襲」です。
自分たちの実力が相手を上回っていて策を弄する事無く戦っても勝利できるというときに用いられる正攻法の攻撃方法のことを「強襲」と表現します。
「強襲」には「力ずくで攻撃する」という意味と「正攻法で攻撃する」という2つの意味があります。
意味を明確に使い分けることもあればふたつの要素を含んだ形で使うこともあります。
「犠牲や損耗を覚悟の上で攻撃を仕掛ける」のが「強襲」なので一般的には多少の損害を気にする必要のない圧倒的な強者や戦術や策略を用いる余地のない状況で用いられます。
「強襲」の使い方
・西軍の強襲から戦いが始まる。
・やぶれかぶれで仕掛けた強襲が突破口になった。
・左翼が下がるタイミングに合わせて右翼が強襲を仕掛ける。
・にらみ合いにしびれを切らした部隊が命令を無視し強襲を仕掛けてしまった。
「奇襲」と「強襲」の違い
「奇襲」と「強襲」の違いは「相手の戦闘準備が整っているかどうか」です。
不意打ちで攻撃を仕掛ける「奇襲」が成功すると相手の戦闘準備が整っていない状況で自分たちだけが一方的に攻撃出来る状況になります。
「強襲」では相手の戦闘準備が整っている状況で攻撃するので激しい反撃が予想されます。
相手の準備状況によって「奇襲」と「強襲」は区別されています。
まとめ
「奇襲」と「強襲」は普段使う機会はほとんどありませんが文章では意外と見かけることの多い言葉です。
ふれる機会が少ない言葉こそ正しい意味を知っていると人に一目置かれる可能性が高まります。
この機会に具体的な意味合いを知っておきましょう。