神社やお寺に物を納めることを「奉納」といい、博物館に物を贈ることを「寄贈」といいます。
この「奉納」と「寄贈」はそれぞれどんな意味を持ち、どんな違いがあるのでしょうか。
この記事では、「奉納」と「寄贈」の違いを分かりやすく説明していきます。
「奉納」とは?
「奉納」とは、神仏に喜んで納めてもらうために物品を供えたり、その前で芸能・競技などを行ったりすることを意味します。
「奉」は、「たてまつる、捧げる」という相手への敬意としての意味を持ち、「納」は、「おさめる、しまいこむ」という意味を持ちます。
「奉納」とは、敬意を表す対象、つまり神や仏に対して物品などをさし上げる、ということです。
「奉納」を英語にすると、“dedication”になります。
「奉納」の使い方
「奉納」を動詞として使う場合は、「奉納する」という形になります。
神社に奉納される物品として代表的なものは、お酒やお菓子などの飲食品ですが、お金を奉納することもできます。
また、「奉納」はものだけでなく武芸などについても使うことができます。
オリンピックはもともと、オリンピアの神々に奉納するものとしておこなわれたスポーツの祭典でした。
現代でも行われている聖火リレーにも、オリンピックにおける神々とのつながりが表れています。
「寄贈」とは?
「寄贈」とは、物品を贈り与えることを意味します。
「寄」という漢字には、「まかせる、あずける」という意味があり、「贈」という漢字には、「おくる、与える、プレゼント」という意味があります。
同じ「寄」を使った二字熟語には、「寄付」や「寄進」があります。
「寄付」は、公共事業や寺社などに金品を贈ることで、「寄進」は、神社や寺院に金銭や物品を寄付することです。
「寄贈」、「寄付」、「寄進」は意味がよく似ていますが、贈る相手や内容がわずかに違うので注意しましょう。
「寄贈」は、英語で“donation”といいます。
「寄贈」の使い方
「寄贈」は、相手に対して物品を贈り与えることを意味しますが、その相手については特に限定はありません。
神社やお寺に限らず、博物館や学校、公民館などさまざまな相手について使うことができます。
ただし、お金を贈る場合には、「寄贈」ではなく「寄付」を用いる方が適切です。
「奉納」と「寄贈」の違い
「奉納」の相手は、神仏にかぎられますが、「寄贈」の相手は神仏に限られません。
一方で、「奉納」するものは、物品や金銭、芸能や競技など非常に幅広いですが、「寄贈」するものは物品に限られます。
「奉納」の例文
・『ここには三種の神器のうちの一つが奉納されている。』
・『神社で神楽の奉納が行われた。』
・『靖国神社の奉納大相撲を見に行く。』
・『絵馬を奉納する。』
「寄贈」の例文
・『母校に高価なバイオリンを寄贈する。』
・『読まなくなった本はぜひ、図書館に寄贈してください。』
・『このホールは、この地域で生まれ育ったあの有名人が寄贈した物らしい。』
・『震災で被害を受けた地域に衣類を寄贈する。』
まとめ
「奉納」と「寄贈」は、贈る相手や贈るものに違いがあるので注意して使い分けるようにしましょう。