皆さんは「実践的」と「実用的」の違いを聞かれて即座に答えられますか。
似た意味の言葉だと思って、あまり意識せずに使っている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、「実践」と「実用」の違いを分かりやすく説明していきます。
「実践」とは?
「実践」とは、主義・理論などを実際に自分で行うことを指します。
「践」という漢字には、ふみ行う、実行するという意味があります。
同じ読みで「実戦」という言葉がありますが、これは、実際の戦闘という意味の言葉です。
また、似た意味で使われる言葉に「実行」があります。
「実行」も自ら行うという意味を持ちますが、理論や主義のように倫理に関わる言葉には「実行」ではなく「実践」を使うのが一般的です。
「実践」を英語にすると“practice”になります。
「実践」の使い方
動詞として使うときには「実践する」という形になります。
「実践的」という形でよく使われますが、これは「自分で実地に行うさま、実行するさま」を意味します。
「実践躬行」は、実際に自分自身で行うことを意味する四字熟語です。
また、哲学の分野に「実践哲学」というものがあります。
「実用」とは?
「実用」とは、実務に用いること、日常生活などの場で実際に役に立つことを意味します。
「用」という漢字には、もちいる、使う、役立たせるという意味があります。
「実用」を「じちよう」と読む場合には、まじめなことを意味しますが、現代語ではあまり使われません。
「実用」は英語で“practical use”といいます。
「実用」の使い方
少し堅い言い方ですが、「実用に供する」と言った場合には、実際に役に立つことを意味します。
「実用的」は、実際に役に立つさまを指す表現です。
また、哲学思想の一分野として「実用主義」というものがあり、この思想は「プラグマティズム」とも呼ばれます。
「実用化」は、「実際に役に立つようにする」という意味です。
「実践」と「実用」の違い
「実践」と「実用」はどちらも、「実際に」という部分が重要な要素ですが、その後に続く部分が違います。
「実践」は、実際にみずから行うことで、「実用」は、実際に役に立つことです。
例えば、森林伐採の問題について学ぶために熱帯雨林を訪れることは「実践的な学び」ですが、それが「実用的な学び」かどうかはその学ぶ人次第です。
「行動する」ことと「役に立つこと」が同じとは限りません。
「実践」の例文
・『彼は、会社の理念を実践している。』
・『練習問題が終わったので実践問題に挑戦する。』
・『あれこれ理想を言うなら、一つでも実践してみてはどうだい。』
・『プログラミングを実践的に学ぶ。』
「実用」の例文
・『そのアイデアは面白いが、あまり実用的ではない。』
・『この授業で学んだ知識は実用に供することができるでしょう。』
・『実用的なものだけを求めていてはつまらない。』
・『彼の案は、実用性という観点からも価値がある。』
まとめ
「実践」と「実用」は普段意識せずに使いがちな言葉ですが、明確な違いがあるので、しっかり区別して使うようにしましょう。