「寡聞」
「寡聞」は「かぶん」と読みます。
非常に読み方が難しく、しかも日常会話で使われることの少ない言葉です。
稀に「かもん」と読む人がいますが、一般的には「かぶん」です。
「寡聞」の意味
「寡聞」の意味は「知識や見聞きしている情報が少ないこと」です。
ものごとを知らなかったり分らない時に「今迄得た知識や情報が少ないので」という意味で「寡聞にして」と前置きをしてから「知りません」と言います。
いわゆる「言い訳」に当たる言葉で、「勉強不足で」「知らないもので」というよりは形式ばっている分聞こえが良くなるというメリットがあります。
「寡聞」の言葉の使い方
「寡聞」の使い方には以下のポイントがあります。
自分を謙遜する時に
「寡聞」は自分を謙遜して使う言葉です。
目上の人に対して「知りません」とはっきりと言ってしまうと相手のプライドを傷つけたり失礼に当たることがあります。
その様な時に「寡聞にして知りませんでした」というと、自分の知識不足や見聞不足を踏まえた上で言っていることが伝わります。
皮肉の意味で
現実に有り得ない様なことに対して皮肉として使えます。
相手が明らかにウソを言っていたり、デマを本気にしている様な場合に「寡聞にして知りません」というと、「くだらない」「興味がない」という意味になり、相手を黙らせられます。
但しその後相手と険悪な関係になってしまうかも知れないので、使う時と場合に注意しましょう。
一般常識には使わない
明らかに誰でも知っている様なことに対して使うと返って恥をかくことになります。
あくまで専門外であったり、普段あまり耳にしないものごとに対して使います。
「寡聞」を使った例文・短文(解釈)
「寡聞」を使った例文と解釈を紹介します。
「寡聞」の例文1
「寡聞にしてその音楽家を知らなかった」
世界的に有名な音楽家ですが、日本では知っている人が少ないことも多くあります。
コンサートに行って初めて名前を聞いた時の言葉です。
「寡聞」の例文2
「寡聞にして絵画の技法については全く分らない」
絵画は普通の人が見ても美味いのか下手なのか分からないものがあります。
見る人が見れば素晴らしい技法なのですが、全く理解できないことを表しています。
「寡聞」の例文3
「オオサンショウウオの生態は寡聞にして知りません」
オオサンショウウオは天然記念物ですが、誰もがその生態を知っている訳ではありません。
特別に研究している訳ではないので知りようがない、という意味が伝わります。
「寡聞」の例文4
「UFOやUMAの目的?寡聞にして分りませんね」
超常現象が好きな人が「UFO」や「UMA」について真剣に話しかけてくるので、この様に皮肉を言って会話を終わらそうとしています。
「寡聞」の由来・語源
「寡聞」の由来は言葉の意味から来ています。
「寡」は「少ない」「ひとりもの」「徳が足りない」という意味があり、「寡黙(口数が少ないこと)」という言葉に疲れています。
「聞」は「聞く」という意味です。
この2つが組み合わさり、「知識や見聞きしている量が少ないこと」として使われる様になったのです。
「寡聞」の類語と解釈
「寡聞」の類語は「浅見(せんけん)」で、意味は「浅はかな見識や考え」「自分の意見を謙遜している様子」ということです。
「寡聞」と引き合いに出されることも多く、2つを合わせて「浅見寡聞」と使うこともあります。
「寡聞」の英語と解釈
「寡聞」は日本独特の謙遜の意味がある言葉ですので、対応する英語はありません。
英訳で最もシンプルで使い易いのは“poor knowledge”(知識が乏しい)です。
“I have a poor knowledge in American economy”(アメリカ経済に関する知識が乏しい) になります。