「展望」と「天望」の違いとは?分かりやすく解釈

「展望」と「天望」の違い違い

間違いやすい同音異義語に「展望」「天望」があります。

どちらも共通の「望」という漢字が使われているため混同しやすいのですが、このふたつの言葉はどのような違いがあるのでしょうか。

今回は、「展望」「天望」の違いについて解説します。

「展望」とは?

「展望」とは「思い描くこの先の見通し」という意味の言葉です。

本来の「展望」の意味は「見晴らし、眺め」などある地点から見える景色や光景を指すものでした。

遠くを見渡すその様子から転じて「現時点から見ている未来の様子」という意味で使われるようになり、現在ではどちらの意味でも使われています。

「展望」「展」には一字で「ひろげて見る」という意味があり、「展開図」などのような使い方にあるように「複雑な構成のものをわかりやすく丁寧に調べる」という内容を表します。

「展望」「望」は一字で「見渡す」という意味があります。

「眺望」など景色や風景を眺めることを表しており、 「展」「望」を合わせて「複雑なものを広げて眺める」つまり「先の見えない未来を自分なりに理解して思いをはせる」という意味の言葉になります。


「展望」の使い方

・インタビューでは将来の展望について話をした。

・人生の展望を描くのは結構だが、思い通りにいく保証はどこにもない。

・レースの展望について質問する。

・タワーの頂上からの展望は実に素晴らしかった。


「天望」とは?

「天望」とは「空を見ること」という意味の言葉です。

「望」には一字で「見渡す」「遠くを見る」「眺める」など「目の前に広がる雄大なものに視線を向ける」という意味がありますが、「天望」「天を見渡す」すなわち「空を見る」という意味になります。

一般的には視線を上に向けて空を見ることを表す言葉として使われています。

天窓やサンルーフなど上部に位置する場所にあけられた穴や空間から広がる空を見渡す動作のような「限られた空間の中から空を見ること」をさして「天望」と表現します。

遮る者のない草原などで空を見る行為も「天望」の一種ではありますが通常はそのような行動をさして特別に「天望」と表現することはまれです。

また、「天を見る」というところから転じて「天下取りまでの見通し」という意味でも使われます。

「天望」の使い方

・愛車のサンルーフを開けて天望を楽しむ。

・天窓から見える天望が朝の心地良い目覚めには欠かせない。

・浮上した潜水艦のハッチを開くと、そこには目に染みるような天望が広がっていた。

・地下室の窓から見えるわずかな天望だけが囚われの身である自分にとって唯一となる心の救いだった。

「展望」と「天望」の違い

「展望」「天望」の違いは「見ている光景」です。

「展望」で見るのは目の前に広がる景色、「天望」で見るのは見上げた空です。

前を見るのが「展望」、上を見るのが「天望」です。

転じた意味である「この先の見通し」という意味でも「展望」が自分の目の前に広がる未来を見ているのに対し、「天望」は現在よりも上に位置する身分や立場を見ており出世を強く意識しています。

まとめ

「展望」「天望」は読みも意味も似ているため混同しがちですが、指している内容は全く異なる別の言葉です。

それぞれの言葉が表す意味をきちんと理解しふさわしい使い方を覚えましょう。

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