少し古い文学などを読んでいると、恋愛にまつわるユニークな表現に出会うことがあります。
 この記事では、「岡惚れ」と「片思い」の違いを分かりやすく説明していきます。
 風情ある言葉を覚えて、日本ならではの感性に触れてみてください。
「岡惚れ」とは?
 岡惚れ(おかぼれ)とは、すでにパートナーがいる人を好きになってしまうこと。
 一方的に惚れてしまう感情をあらわしています。
 相手がどう思っているかは分からないけれども、こちらが勝手に好きになってしまう気持ちです。
 ちなみに「岡惚れ」の岡は、江戸時代の遊郭のこと。
 幕府によって認められていない、非公認の遊び場のことです。
 この岡には容姿端麗な、キレイな女性もいました。
 その女性に一目惚れした男性がいたことから「岡惚れ」という名前が生まれました。
 ちなみに岡惚れの「岡」には、傍から見たらという意味もあります。
 脇からそっと・陰ながらそっとというニュアンスも含まれているのです。
 そのため岡惚れには秘めた恋・決して報われない恋という寂しい意味もあります。
 両想いにならない、はかない恋のことです。
「片思い」とは?
 片思い(かたおもい)とは、相手に見向きもされていないのに、こちらは一方的に好きな様子。
 またはその感情をあらわします。
 とても愛しているのに、相手からは恋愛対象とは見られていない、切ない恋愛関係のことです。
 ちなみに片思いを用いたことわざに「磯の鮑の片思い」があります。
 これは万葉集の歌に由来がある、歴史あふれるフレーズ。
 鮑(あわび)の貝殻が二枚貝ではなくシンプルな一枚貝であることから、海の鮑を「片思い中の男女」になぞらえて例えたものです。
 一枚貝の貝はどんなに頑張っても、二枚貝つまりカップルになることはできません。
 万葉集の歌に詠まれているように、一方通行の恋愛は何とも切なく侘しいものです。
「岡惚れ」と「片思い」の違い
 一方的な恋愛感情を、よく表現しているのが「岡惚れ」と「片思い」です。
「岡惚れ」と「片思い」の違いを、分かりやすく解説します。
 ・より大人な恋は「岡惚れ」
「岡惚れ」も「片思い」も、相手の気持ちは宙に浮いていて、こちらだけが一方的に慕っている悲しい恋愛関係をあらわしています。
 ただ岡惚れの由来は江戸時代の遊郭にあるので、大人のみだらな恋愛を伝えたいときは岡惚れを。
 若々しく青春を感じるようなシーンでは、片思いをつかいます。
 言い方は悪いですが、少しゲスな感じを含みたいなら岡惚れ。
 純白でフレッシュな感じなら片思いを用います。
 その場の様子にあわせて、使い分けしていくとカッコいいです。
まとめ
 恋する気持ちを表現した「岡惚れ」と「片思い」について、お伝えいたしました。
 岡惚れは江戸時代の遊郭から名付けられた、大人の秘めた恋のこと。
 対する片思いは、主に青春時代の報われない恋のことです。
 叶わない恋は切ないものですが、片思いだからこそ感じる幸せもあります。
 色々な恋愛の形を知って、深みのある人生を送ってみてください。


