「引き起こす」と「惹き起こす」の違いとは?分かりやすく解釈

「引き起こす」と「惹き起こす」の違い違い

この記事では、「引き起こす」「惹き起こす」の違いを分かりやすく説明していきます。

「引き起こす」とは?

「引き起こす(ひきおこす)」とは、「倒れているものや横になっているものを、物理的に引っ張って起こす」の意味を持っている言葉です。

「引き起こす」の言葉は、「引く+起こす」を組み合わせてつくられています。

「引き起こす」の表現には、「ある事態・状態を発生させる」といった一般的な意味合いもあります。

例えば、「第二次世界大戦を引き起こした国がどの国なのかを、一つの国だけに決めることはできません」などの文章で使用されているのです。


「惹き起こす」とは?

「惹き起こす(ひきおこす)」とは、「ある物事・事態などを惹起(じゃっき)すること」を意味しています。

「惹起」の言葉の意味はそのまま、「ある物事を惹き起こすこと」になります。

「惹き起こす」という表現は、「ある程度の意図・計算を前提にして、特定の問題・事件・騒動などを生じさせること」を示唆しているのです。

例えば、「あまりに残酷な殺人事件を惹き起こした動機についてずっと調べているのですがいまだに謎なのです」といった文章で使うことができます。

「惹き起こす」の漢字表記は戦後の日本では、「惹」が常用漢字ではないため、ほとんど使われなくなってきています。

特に新聞・テレビ・雑誌などのマスメディアでは、「惹き起こす」ではなく「引き起こす」の表記が一般に使われています。


「引き起こす」と「惹き起こす」の違い

「引き起こす」「惹き起こす」の違いを、分かりやすく解説します。

「引き起こす」の言葉の元々の意味は「倒れているものを引っ張って起こすこと」ですが、「惹き起こす」にはその意味がない違いがあります。

「引き起こす」「惹き起こす」はいずれも、「新たに物事を生起させる」という同じ意味を持っています。

ただし、「惹き起こす」のほうが「引き起こす」よりも、「意図的に誘ってある事件・騒動などを発生させる」といったニュアンスが強くなっている点に違いが認められます。

また現代では「引き起こす」の漢字表記が一般的であり、「惹き起こす」という漢字はほとんど使われていない違いも挙げられます。

戦後に「惹き起こす」が使われなくなった理由として、「惹起」に使われる「惹」の漢字が常用漢字表に記載されていないことがあります。

「引き起こす」の例文

・『地震で倒れていた洋服ダンスを何とか自力で引き起こしました。』

・『朝鮮戦争を引き起こしたのは北朝鮮とされていますが、米ソ冷戦の代理戦争の様相を呈しました。』

「惹き起こす」の例文

・『こんな窃盗事件を真面目な彼が惹き起こしたのには、何か人に言えない事情があるはずです。』

・『フランス革命をはじめとして、人類の歴史では大衆の不満が革命・クーデターを惹き起こす原動力になってきました。』

まとめ

「引き起こす」「惹き起こす」のそれぞれの意味と意味の違いを解説しましたが、いかがだったでしょうか?

「引き起こす」「惹き起こす」の違いについて調べたい時には、この記事の内容を参考にしてみてください。

違い
意味解説辞典