この記事では、「強奪」と「強盗」の違いを分かりやすく説明していきます。
「強奪」とは?
「強奪」【ごうだつ】とは、暴力や威力によって他人の所有物を奪い取ることです。
ほとんどの国が犯罪とみなしており、日本で「強奪」をした場合は窃盗罪や強盗罪などに処されます。
「強奪」は、通りかかった人の持ち物を無理やり奪い取ったり、商店や施設を襲って物品を盗んだりする行為です。
「強奪」の動機には、物資を得る目的、あるいは戦争に伴い敵への見せしめや報復をする目的などが挙げられます。
「強奪」をする者が出ると連鎖で集団による「強奪」が起こり、暴動に発展することがあります。
また破壊活動が目的で暴動を起こしている集団が、見せしめや挑発をするために「強奪」をすることもあります。
「強奪」の類語は「掠奪」「りゃくだつ」、「追いはぎ」です。
「掠奪」は「強奪」とほぼ同じ意味を持ち、「追いはぎ」は通行人を脅して身に付けている物を奪うことを指します。
また「強奪」するため旅客機やバスなどを乗っ取ることは「ハイジャック」と呼ばれます。
そのほか、奪い取るような形で欲しい物を取得することを「強奪」と呼ぶことがあります。
資金の豊かなサッカーチームが他のチームの選手を引き抜くことを「強奪」と呼ぶのも、その一例です。
「強盗」とは?
「強盗」【ごうとう】とは、暴力や威力によって抵抗できないようにしたうえで所有物を盗む犯罪、またはその行為をした犯罪者を指します。
「強盗」は、金融機関や小売店、民家などに押し入り、凶器で人を脅迫したり暴力をふるったりして抵抗できないようにし、金品などを奪い取る行為を指します。
「強盗」は、刑法236条の「強盗罪」に該当する犯罪です。
また「強盗」によって人を死傷させた者は、さらに刑の重い「強盗致死傷罪」に処されます。
類語には「窃盗」【せっとう】、「泥棒」【どろぼう】、「ギャング」などがあります。
「窃盗」は暴力を使わずに他人の所有物を盗むこと、「泥棒」は窃盗をはたらく人のことです。
「ギャング」は集団で犯罪をする組織のことです。
ちなみに窃盗と「強盗」は異なりますが、窃盗した場合でも、犯罪を隠す目的で他人に暴力をふるった場合は強盗の一種「事後強盗」とみなされ、窃盗罪より重い「事後強盗罪」に罰せられることがあります。
「強奪」と「強盗」の違い
「強奪」と「強盗」の違いを、分かりやすく解説します。
「強奪」は暴力や威力によって他人の所有物を奪い取ることです。
欲しい物を奪い取るように取得することも指します。
「強盗」は「強奪」によって他人の所有物を盗む犯罪です。
またはその行為をした者を「強盗」と呼びます。
つまり「強盗」は「強奪」の一種であり、「強盗」は「強奪」と同じ行為を指します。
違いは、「強奪」が物を奪う行為を表しており、「強盗」は「強奪」による犯罪を指しているところです。
まとめ
「強奪」によって物を盗む犯罪を「強盗」といいます。
互いによく似ていますが、言葉の持つ定義は少し異なります。
それぞれの意味を理解し、ぜひ適切に使い分けていきましょう。