「念に堪えない」について
人にはそれぞれ感情があり、時には思いをこらえきれないときもあります。
そんな時に表現される言葉の一つに「念に堪えない(ねんにたえない)」があります。
多くは感謝・喜びなど良い感情の際に使われますが、ほかにも様々な場面で用いられるため意味と使い方を理解しておく必要があります。
「念に堪えない」の意味とは
「念に堪えない」とは感情が溢れてしまい、抑えきれないという状態です。
抑えられないと言えど、感情が溢れることで行動を抑制できないということではなく感情が溢れ出ることを抑えられないという解釈となります。
「堪えない」という言葉は「耐える・我慢する」という意味を持ち、それを否定形で用いているため、耐えられない・我慢できないとなります。
そして「念」は感情・思いを意味しているため、感情の抑制が効かないという意味になります。
「念に堪えない」の言葉の使い方
「念に堪えない」という言葉は何かが起こった・わかった時など、その瞬間に直面した時の感情の高ぶりを表現する際に使われます。
そして使われる場面については感謝・感動・喜び・幸せなどポジティブな感情になった時が多いです。
そのため日常ではなく、夢が叶う・結婚式のように特別な環境・条件下となります。
しかし時には自責・羞恥心といった感情であふれた際、マイナスの感情に耐え切れず使うということもあります。
「念に堪えない」を使った例
「念に堪えない」という言葉は感情の波が激しく起こった特別な環境・条件下で用いられることが多いです。
しかし特別なことに直面した時だからこそ注意して使わないと、残念な結果になりかねません。
どのような使い方が適切か、紹介していきます。
「念に堪えない」の例文1
「結婚式にて『これまで僕を育ててくれた両親には感謝の念に堪えないです』と話した」
この場合、結婚式の新郎のスピーチという一生に一度歩かないかの特別な状況です。
そして両親への感謝を伝えています。
その感謝もこれまでの人生を振り返り感謝であふれてるからこそ「念に堪えない」と使われています。
「念に堪えない」の例文2
「同僚に『僕の上司は本当にいい人で仕事だけではなく人としてしっかりと僕を見てくれている。話をしながら色んなことを思い出すと尊敬の念に堪えないよ』と話した」
この場合、上司に対して尊敬の思いを非常に強く思っていると同僚に伝えています。
それは普段から思っているが、話をきっかけに強い尊敬の念を自覚し、「念に堪えない」と使っています。
「念に堪えない」の例文3
「息子が亡くなってからもう何年も経つ。あの時のことを思うと今でも哀惜の念が堪えないよ」
ここでの「念に堪えない」は悲しみの表現として用いられています。
息子に当たる人物の死という強いストレスに対し、何年たっても傷は癒えていません。
そして当時のことを思い出すとフラッシュバックするほど強い悲しみに襲われると話しています。
「念に堪えない」の英語と解釈
「念に堪えない」は様々な感情が抑えられないときを表し、それは英語でも表現されます。
多くは“cannot enough”と訳されます。
“cannnot”は出来るの否定形を表し、“enough”は十分とその程度を表し、続くことで「どれだけ〜してもしきれない」と訳されます。
それに感情を表す言葉が続くことで感情をおらえられない「念に堪えない」と解釈されます。
「念に堪えない」の類語や類義表現
「念に堪えない」は抱えきれない感情を表す際に用いられます。
その類語・類語表現も多くあり、どのようなものがあるか例を紹介していきます。
「激する」
「激する」は気持ちが激しく興奮し、高ぶるという意味を持ちます。
「激する」のみではどのような感情はわからないため、何に対して「激する」状態なのかを伝えたうえで用いられます。
また明確に感情の対象は決められていないため、「念に堪えない」の類語とされます。
「感慨無量」
「感慨無量」は測ることが出来ないほどに心に染みるという意味です。
「感慨」には何かを強く感じるという意味を持ち、「無量」には測れないほど大きいとされます。
その二つが合わさることで「念に堪えない」の類語表現となります。