この記事では、「思い出す」と「思い浮かべる」の違いを分かりやすく説明していきます。
「思い出す」とは?
「思い出す」のは、以前に起こった出来事の記憶を掘り起こすという意味です。
記憶が薄れたり失われていたりする状態から、記憶を辿って取り戻す行為のことです。
例えば、家族間で去年お誕生日にはどのようなケーキを食べたのかという話題になったとします。
最初はそれぞれの記憶が曖昧で思い出せませんでしたが、そういえば外食した帰りにイチゴのショートケーキを買って、みんなでコーヒーを飲みながら食べたような気がすると父親が言い、すると次第に記憶が蘇り、「そういえばそうだった」と全員が納得しました。
このように、すぐに思い出せず忘れられていた記憶を取り戻すことを「思い出す」と言います。
「思い出す」の例文
『蚊取り線香に香りを嗅ぐと小学生の夏休みを思い出す』
『あのときの失敗を思い出すと冷や汗が出る』
途切れていた記憶が繋がる様を表していることがわかります。
「思い浮かべる」とは?
「思い浮かべる」のは、頭の中で想像することを言います。
その想像とは、無の状態からあれこれと思い巡らして具体的な像を心に描いたり、頭の隅にある記憶の断片をひとつひとつ引っ張り出してきたりする行為のことです。
例を挙げてみると、帰宅途中で空腹を抱えながら今晩のメニューを想像したとします。
冷蔵庫にひき肉が入っているのを見たから、今日はハンバーグに違いない。
我が家のハンバーグはボリューム抜群でソースが絶品だから、レストランにも負けない味だから楽しみだ。
早く食べたい。
このようなときには、以前に食べたハンバーグを思い浮かべています。
「思い浮かべる」の例文
『あの人の笑顔を思い浮かべると胸がドキドキする』
『ピンチのときに思い浮かぶのは、父からの忠告の言葉だ』
これらの例文からも分かるように、忘れたわけではないけれど、急に存在感を増した記憶について言い表しています。
「思い出す」と「思い浮かべる」の違い
「思い出す」と「思い浮かべる」の違いを、分かりやすく解説します。
どちらも心の動きを表す言葉ですが、同じ意味ではありません。
「思い出す」という行為は、忘れていた記憶を探すことを表しています。
一方の「思い浮かべる」という行為は、思いついたことを頭の中にイメージし、その像をしばらく留めておくことです。
例えば、脳内という箱があったとします。
奥底にしまってあったものを箱の中に引き入れる行為が「思い出す」。
初めから箱の中にあったけれど、気に留めていなかったものに注意を払い、思いを寄せる行為が「思い浮かべる」です。
まとめ
心の動きは自覚するのが難しい曖昧な行為であり、それを言葉にするのはさらに難しいことです。
「思い出す」と思い浮かべるは、似ていますが確たる違いがありました。
どちらも記憶の状態を辿る言葉ですが、状況によって使い分けが必要になります。
文章化する際は、特に注意が必要です。