この記事では、「悪党」と「悪人」の違いを分かりやすく説明していきます。
同じ「悪」という良からぬイメージを持つ漢字を用いていますが、「悪党」と「悪人」にはどのような違いがあるのでしょうか。
「悪党」とは?
悪という文字を使うだけあって、悪い人という意味が一般的に知られています。
ところが、「悪党」はそれ以外にも意味を持ち合わせている言葉なのです。
そのうちのひとつには、悪い人が集まった集団をさす言葉として使われます。
いまふうに言うと、ギャングやマフィアのニュアンスに似ています。
一人ではなく複数人で犯罪そのものや犯罪まがいのことを計画して実行するグループのことです。
もうひとつは、法律を無視するようなアウトローである一方で、自分の信念に基づいた勇気ある行動ができる人のことを「悪党」と呼んでいました。
現在ではそのような使い方をすることはあまりなく、鎌倉時代の後期から室町時代の前期にかけて「悪党」が活躍していたという記録が残っています。
公的な役職に就いていたわけではなく、自発的に悪を取り締まる自警団のようなものでした。
悪いことをするというイメージではなく、弱い者いじめをする奴を懲らしめるヒーローのような扱いを受けていた時代があったのです。
「悪党」は単純に悪い人という意味があるので、「悪人=悪党」となっても間違いではなく、曖昧に使われることも間々あります。
「悪人」とは?
「悪人」は、読んで字の如く悪い人全般を分かりやすく表現する言葉です。
泥棒や殺人者など、法を犯して刑事事件の犯人になる犯罪者は「悪人」です。
そして、嘘を言って人をからかったりいじめたりするなど、警察に取り締まりされるほどではないものの、人を不快にさせたり心を傷つけたりする場合も「悪人」という言葉に当てはまります。
人によって意味する程度に差は生じるものの、正しくないことをする人のことを「悪人」と呼んでも差し支えありません。
「悪党」と「悪人」の違い
「悪党」と「悪人」の違いを、分かりやすく解説します。
「悪党」は「悪人」の集団を指し示す言葉として用いられることがありますが、「悪人」は悪いことをした当人を示す言葉です。
また、現在では一般的な使い方ではないものの、「悪党」には正義のために活躍をした漢気のある人たちに使われた言葉でもありました。
一方の「悪人」には、同じような賞賛の意味は含まれていません。
まとめ
「あいつは根っからの悪党だから、関わらないほうがいい」
「悪人呼ばわりされるいわれはない」
それぞれ、このような使い方をする「悪党」と「悪人」。
割と知られている言葉ではありますが、実は「悪党」には意外な意味があったわけです。
そんなエピソードを知ると、悪党呼ばわりされるのも悪くはないと思うかもしれませんが、それは誤りです。
現在では、どちらも人の道にそむく心を持ち行動をする人のことを指す言葉であることを忘れてはなりません。
後ろ指をさされることのないよう、悪のイメージを持つ人と誤解されないようにしたいものです。