「悪書追放運動」とは?意味や言葉の使い方、概要(元ネタ)など

「悪書追放運動」とは?新語・ネット用語

この記事では、「悪書追放運動」【あくしょついほううんどう】の意味や使い方、例文を分かりやすく説明していきます。

「悪書追放運動」とは?意味

「悪書追放運動」【あくしょついほううんどう】とは、子供が読めば害になると思われる書籍を「悪書」と呼び、排除するという意味があります。

権力者によって低俗な書物とみなされたものについては徹底的に排除して、市民が悪いことに走らないようにするために行われた運動です。

青少年に害があると思われる有害な雑誌や図書などで性が露骨に描かれていたり、裸が多い雑誌、暴力表現の多い小説などを含めて、そのようなものを排除するために起きたのが「悪書追放運動」になります。


「悪書追放運動」の概要

社会的に風紀が乱れるとされる有害な本を排除し、青少年が気軽に購入したり、読まないようにするために過激な性描写が描かれるアニメや小説など幅広い分野の出版物を本屋に並べないようにしようと1955年に全国で広まったのが「悪書追放運動」です。

漫画弾圧の歴史の幕開けとも言える運動が起こると青少年健全育成条例が法律で制定されました。

制定された法律により青少年が見れば有害とされた書物を有害図書と位置づけたのです。

1991年になると、日本の出版業界では「成年齢コミックマーク」を有害図書とされる本に表示することを義務付け、店ではその本だけを並べて陳列するために区分しました。

手塚治虫が描いた『ロスト・ワールド』もまた「悪書追放運動」で有害図書として取り上げられた書物の一つです。

「いい加減なもの」と漫画を批判する評論家が現れ、「でたらめな筋をつけて描いた」とも言い、彼の本は低俗だと批判しましたが、手塚氏は『漫画大學』でテーマの選び方、表現方法について解説したことで害のない本であることを証明したのです。


「悪書追放運動」の言葉の使い方や使われ方

書物の内容が浴悪であったり、社会を批判する内容のものを対象にした書物を書店から排除するか、区別して陳列させるための考えや行為に対して「悪書追放運動が巻き起こる」と使います。

未成年が簡単に書店でいやらしいグラビア雑誌や官能小説を仮に読んでも犯罪に走らないよう抑制するのが「悪書追放運動」の目的です。

類義語に「有害コミック騒動」があり、特定の漫画作品に有害な内容が含まれていたため、書店から排除するよう巻き起こった騒動です。

この騒動は1990年代に巻き起こったもので、主に書店から追放されたり、販売禁止となったものは青少年が読むと害があるとされたコミックでした。

「悪書追放運動」を使った例文(使用例)

・『悪書追放運動で発売禁止・処分となった書物の大半は大正期に販売されたエロを取り上げたものだった』
・『激しいグロテスク要素の強い書物も悪所追放運動では排除されている』
・『悪書追放運動で排除された発売禁止処分図書に調べたいときは一覧を見るといい』
発売禁止になったり、処分された雑誌や本は大正時代に出たエロい本ばかりでした。

現代では表現の自由の観点からある程度規制は緩やかになりました。

そんな発売禁止・処分された書物を紹介するサイトがありますので調べてみるといいでしょう。

まとめ

青少年に悪影響を与えてしまう書物を排除しようと立ち上がったのが「悪書追放運動」でした。

今でこそインターネットでは簡単にエロ要素の強い書物は購入できますが、18歳未満は読めないように工夫するサイトもあります。

このように、簡単には入手できない対策を考えるのもまた大人の役目なのでしょう。