冠婚葬祭とは人間の重要なライフイベントでありますが、中でも絶対に避けては通れないものが、『葬儀』です。
人の人生の最後を飾る集大成として亡くなった方を悼む儀式ですが、これにまつわるルールや風習、習慣、文化は国や宗教によって異なるものの多く存在しています。
葬儀に使われる言葉も日本語には多く存在しており、その中でも『懇ろに弔う』という言葉が存在しています。
『弔う』という言葉は知っていても『懇ろ』という言葉は勘違いしている場合や全く聞いたことがないという方も最近ではいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、「懇ろに弔う」の意味を分かりやすく説明していきます。
「懇ろに弔う」とは?の意味
これは『丁重に人の死を悲しみ悼み、残された家族や遺族にお悔みをあげる、または供養をする』ということを表した言葉です。
二つの単語が使われている言葉ですので、次の項でそれぞれをもう少し詳しく見ていきましょう。
「懇ろに弔う」の概要
『弔う』という言葉は現在も良く使われている死者を悼む言葉ですが、よく聞くのは『死者を丁重に弔う。』という言葉がもっぱらであり、今回の『懇ろ』という言葉はあまり使われないのではないでしょうか。
この『懇ろ』(ねんごろ)ですが、かなり誤った認識のされ方をしており、どちらかと言うとドラマやスキャンダルなどで『懇ろな関係』などという男女の親密な関係を指す言葉として使われるケースが多いのでいいイメージを持っていらっしゃらない方も多い様子です。
しかしながら本来の意味としては『心がこもっており、親密であること』を表す単語ですので、決してネガティブな意味だけを持つ単語ではないことは十分理解をする必要があります。
事実、英語辞書で『懇ろ』を引くと真っ先に出て来るのが『Polite』(親切)や『Kind』(優しい)であり、男女の親密な関係を表す『Intimate』はその後に出てきます。
メディアでの使われ方が要因で、謝った認識をされてしまっている言葉の代表例ではないでしょうか。
「懇ろに弔う」の言葉の使い方や使われ方
上記で挙げた通り、『丁重に弔う』という言葉と全く同じ意味を持っています。
しかしながら『懇ろ』という意味を知らない方や誤認している方もいらっしゃる為、あまり葬儀の場では聞いたことがないという場合も多いのではないでしょうか。
あらぬ誤解を生まないように素直に『丁重に』などの言葉を使った方が、無難な場合もあることを覚えておきましょう。
「懇ろに弔う」を使った例文
・『先生を生徒全員で懇ろに弔った。』
・『この建物は戦没者の魂を懇ろに弔うために建てられたものである。』
・『遺族を代表して被害者懇ろに弔う様子がテレビで放送された。』
まとめ
如何でしたでしょうか。
人の死に関係する葬儀に使われる表現である『懇ろに弔う』という言葉を今回見ていきました。
『懇ろ』という単語の持つ本来の意味を知らないと、全くあらぬ方向の意味と勘違いをしてしまう少しセンシティブな表現であったことも確認できたのではないでしょうか。
この様に、イメージが屈折してしまっている表現も日本語には多く存在します。
正しい日本語を使うと同時に言葉は生き物であるということも改めて理解をする様にしたいものです。