日本料理の形式に「懐石料理」と「会席料理」があります。
いずれも「かいせきりょうり」と読み、イメージが似ているため混同する人も多いでしょう。
しかし、この二つは全く異なるものであることを知っていますか。
この記事では、「懐石料理」と「会席料理」の違いを分かりやすく説明していきます。
「懐石料理」とは?
茶道において発展してきた料理です。
茶の湯の会で主催者が来客をもてなす料理を「懐石料理」と言います。
メインであるお茶をいただく前に食べる料理のことです。
茶道の心である「侘び・寂び」を表現しています。
「懐(ふところ)」に「石」と書きますが、この石は昔の人が体を温めるために焼いた軽石を布などに包んだ温石(おんじゃく)を由来としています。
温石のように体を温め、空腹をやわらげるささやかな食事を示している、または客人をもてなす食事がなく、せめてもの空腹しのぎにと温石を渡した話による、など諸説あります。
和食の基本である「一汁三菜」のスタイルで、ごはん・お吸い物・3品のおかず・香の物で構成されています。
三菜にあたるおかずは、なます・煮物・焼き物です。
現代では量が少ない料理コース全般を「懐石料理」もしくは「懐石」と呼ぶ傾向があります。
時代にあわせて内容も変わり、イタリアンやフレンチなど西洋料理を示す「欧風懐石」や「洋風懐石」という言葉も生まれました。
「会席料理」とは?
宴会や会食で出される料理のことです。
昔、流行した遊びである連歌や俳句の会席で出されました。
本膳料理という武家で発展した儀式的な料理形式を簡略化したものです。
献立にそって1品ずつ食べていくスタイルと、大宴会での配膳方式の2種類がみられます。
お酒を楽しむことを大切な目的としています。
一汁一菜が基本です。
三菜は刺し身・なます・吸い物・煮物・焼き物・焼き魚とすることが多く、さらにお通し・揚げ物・蒸し物・和え物・酢の物などの肴が加えられ、最後に飯・味噌汁・香の物、水菓子で終わります。
「懐石料理」と「会席料理」の違い
それでは「懐石料理」と「会席料理」の違いを、改めて整理してみましょう。
料理を提供する目的が異なります。
「懐石料理」は茶事の一環として、お茶を喫する前に出される軽い食事です。
お酒を出す場合もありますが、一番の目的はお茶をおいしくいただくことです。
一方「会席料理」はお酒を楽しむことを主眼としています。
また「飯」が出る順番が異なります。
「懐石料理」では飯と汁は最初に提供されますが、「会席料理」では飯と汁はコースの最後にでてきます。
まとめ
この記事では「懐石料理」と「会席料理」の違いをみてきました。
どちらも日本料理のスタイルの1つですが、目的が「お茶を楽しむことか」「お酒をいただくことか」という違いや、料理の提供手順、特に飯が最初にでてくるか最後にでてくるか、という違がいがあります。
正しく理解して、社会人マナーの向上に役立てて下さい。