「損益計算書」と「貸借対照表」の違いとは?分かりやすく解釈

「損益計算書」と「貸借対照表」の違い違い

この記事では、企業の決算において大切な「損益計算書」「貸借対照表」の違いを分かりやすく説明していきます。

「損益計算書」とは?

「損益計算書」は企業の決算時にその期間の損益を明確にするために作成される資料です。

企業の損益は売り上げに対して、その売り上げを得るために掛かった総費用を差し引いたものが経常利益となりますが、その詳細を明確化する決算書の一つです。

総費用は、一般的に固定費と変動費に区分され、さらに詳細に示されます。

固定費とは、売上高の増減に関係なく固定的に発生する費用で、人件費や減価償却費や金利がこれに当たります。

一方で変動費とは、売り上げの増減に伴って変動する費用の事で、商品の原価・材料費・外注費により構成されます。

ちなみに、損益計算書で決算が赤字となった場合には、固定費を一定のまま、いかに売上アップを図るか、また売上アップが望めない時には、人員削減等で固定費を圧縮したり、原価や材料費を抑える等の施策を講じる必要があります。

企業はこの「損益計算書」をベースに、来期の売り上げ目標や固定費や変動費の目標を設定した事業計画書を策定し、企業活動を行うのが一般的です。


「貸借照表」とは?

「貸借照表」は決算において、企業活動を行うに当たってのお金の動きの詳細を明示する資料です。

構成としては資金の使い道(使途)を示す借方と 資金の調達方法(源泉)を示す貸方に区分して示されます。

簿記を習った人には馴染みあるものと言えるでしょう。

借方は固定資産と流動資産に区分されます。

その中でも、企業活動の在り方で変化する流動資産は、さらに当座資産・棚卸資産・その他流動資産に区分してよりお金の流れの細部が分かるように表記されます。

一方の貸方では、資本金と利益の留保額により構成される自己資本と、自己資本以外の他人からの借り入れは他人資本として区分されます。

健全な企業を目指すために、各企業はいかに自己資本比率を高めるかの努力を行っているのです。


「損益計算書」と「貸借照表」の違い

「損益計算書」「貸借照表」は企業活動を俯瞰的に見るために必要な経営指標を示す資料である点は共通です。

しかし「損益計算書」は企業の儲けを分析する資料であり、「貸借照表」は企業活動のお金の流れを明確化する資料で、企業活動の両側面を示す別の分析資料なのです。

「損益計算書」の例文

・『損益計算書でなぜ儲からないのか、その問題点をチェックした。』

・『需要に激減で売上アップが見込めないので、損益計算書で分かるように固定費の大幅削減が必要です。』

「貸借照表」の例文

・『今期は予想以上の経常利益を確保できたが、貸借対照表の改善のために、ボーナスは増やさず、内部留保を増やす利益処分が決定された。』

・『貸借対照表の自己資本比率をアップし、借入資本を減らす事は利払いが減少し、損益の改善にもつながる』

まとめ

「損益計算書」により収益力が把握でき、「貸借対照表」により資金力を把握する事が出来、決算において両資料で企業活動を総括し、来期の事業計画等に改善を反映させるのが一般的です。

また両資料の関係から投下資本の効率性を把握する事も可能となります。

企業経営者が経営の指標として活用する他に、投資家もこの両資料で企業経営を分析して投資先を決定するのにも活用されます。

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