この記事では、「敬遠」と「忌避」の違いを分かりやすく説明していきます。
「敬遠」とは?
「敬遠」は(けいえん)と読み、この言葉の出典は『論語』です。
意味は「面倒なことや苦手な人を表面上では敬いつつも実は避けること」になります。
「周囲から敬遠されている」「面倒な付き合いは敬遠したい」など、日常的によく使われている言葉です。
ストレートに「嫌だ」「したくない」「避けたい」と表現するよりも、「敬遠します」なら否定的な文脈のニュアンスもやわらかくしてくれます。
「あの人は嫌われている」より「あの人は敬遠されている」の方が表現としてはソフトですし、「今回は敬遠させていただきます」のように、常識的な大人なら「敬遠」を使ってさまざまな摩擦を避けるようにします。
つまり「敬遠」を使うことでコミュニケーションが円滑になるのです。
「敬遠」と同じような言葉に「回避」がありますが、こちらは「危険を回避する」などのように、人物ではなく物事を避ける時に使います。
「忌避」とは?
「忌避」は(ひき)と読みます。
ちょっと読み方が難しく、またこの言葉を聞いたことがないという方もいるはずです。
どちらかといえば文章として目で見ることの方が多い言葉です。
しかし現在「忌避」はそれほど頻繁に日常生活で使われている言葉ではなく、ほぼ死語とも言える言葉かもしれません。
意味ですが「責任を持つべきことや、義務としてすべき事などをいやがって避けること」になります。
例としては「徴兵忌避」があります。
これは昔あった徴兵制度で兵隊に行くのが嫌で、逃亡したり徴兵されないようにわざと怪我をしたりすることです。
たまに「会社の会議を忌避する」などの表現も目にしますが、これは珍しい例でしょう。
「忌避」同じような意味を持つ言葉に「禁忌」がありますが、これは物事を忌み嫌って習慣的として避けることです。
「敬遠」と「忌避」の違い
「敬遠」と「忌避」の違いを、分かりやすく解説します。
「敬遠」と「忌避」はどちらも、人や物事を嫌がって避けたり、逃れたりすることを意味する言葉です。
「敬遠」は社会人になれば使うことが多くなる言葉です。
何かを断るときなどに「欲しくない」「やりたくない」ではなく、「敬遠させていただきます」ならそれほど失礼になりません。
「忌避」は現在ではほとんど使われることがなくなっている言葉です。
「なんとなく意味はわかる」という人もいますが、意味も読み方も全く分からない人も増えています。
しかしたまに文書などで目にする機会もあるかもしれないので、自分は使わないとしても読み方と意味ぐらいは覚えておくと、何かの時に困らないかもしれません。
まとめ
私たちは社会生活していると、時には嫌なことや苦手なことに出くわします。
そして、それを避ける行動に出ることもあります。
このような状況を「敬遠」「忌避」などの言葉で表現できる日本語力を身につけておきたいものです。