似たような使われ方をされることが多く混同しやすい言葉として「有益」と「有意義」があります。
どちらもビジネス文書などでよく使われる言葉ですが具体的にはどのような意味の違いがあるのでしょうか。
今回は、「有益」と「有意義」の違いについて解説します。
「有益」とは?
「有益」とは「利益があること」という意味の言葉です。
「有益」が指す利益とは金銭的な利益だけではありません。
出世したり便宜をはかってもらったりといった具体的な金銭以外でも何らかのメリットが生じるものは全て「有益」に該当します。
直接的な利益以外にも「役に立つ」「便利」と言った意味合いも含みます。
損得で判断できるもののうち利益になるものを指して「有益」と表現します。
当事者にとっての利益を表す表現なのである人にとっては「有益」であっても他の人から見れば全くの無益ということはよくあります。
言葉自体に功利的なニュアンスが含まれますが必ずしも損得勘定のみを強調する表現ではありません。
誰も損をする人がいないような「有益」もありますし、ボランティア活動のような自分が損をかぶってでも他人の利益を優先する「有益」の形もあります。
メリットやプラス面を表す言葉ですが文脈や使い方によって印象は大きく変わります。
「有益」の使い方
・先輩から有益なアドバイスを貰った。
・研究開発への投資は我が社にとって有益な資金の使い方だ。
・感染防止効果が期待できるワクチン接種の推進は今後の経済活動再開に有益である。
・受験勉強に有益な参考書を購入する。
「有意義」とは?
「有意義」とは「そのようにする価値が有ること」という意味の言葉です。
「有意義」の「意義」には「本質的な価値」という意味があります。
個人の利益や特定の誰かにとってのメリットではなく社会や世の中にとって価値のあることを指すのが「意義」であり、そのような価値が有ることを指して「有意義」と表現します。
「有意義」は「直接的な利益や具体的な成果は伴わないが大局的な視点から見てやる価値がある」ことを意味します。
本来的な意味では漠然とした価値を示す言葉ですがそこから転じてやり方や方法、判断の参考になるアドバイスなどある程度具体的なメリットを指して使われることもあります。
「有意義」の使い方
・とても有意義な説明会だった。
・学会では有意義な討論ができたので満足している。
・オリンピックの開催はスポーツと社会との関わりを考える上でとても有意義である。
・長期休暇を有意義に過ごす。
「有益」と「有意義」の違い
「有益」と「有意義」の違いは「具体的な利益の有無」です。
「有益」は金銭や対価など具体的な利益が発生することを指す言葉です。
それに対し「有意義」は社会的なアピールや将来への影響、気持ちの変化など目に見えないがそうする価値のあることに使われる表現です。
一つの行為が「有益」と「有意義」の両方を兼ね備えることもあります。
スポーツの試合は興行主やそれを仕事にする選手にとって金銭的な利益が発生する「有益」な行為であると同時に「見る人を楽しませる」「スポーツの楽しさをアピールして競技人口を増やす」といった「有意義」な行為でもあります。
メリットが直接的であるかどうかで「有益」と「有意義」は区別されます。
まとめ
「有益」と「有意義」は使われる場面も意味合いも似ているため混同されやすい言葉です。
言葉が指す内容は全く異なるので正しい意味を知っておきましょう。