人の態度を表す慣用句として「歯牙にもかけない」という言葉があります。
日常生活ではあまり使わないこの言葉、いったいどのような意味を持つのでしょうか。
今回は、「歯牙にもかけない」の意味と似たような使われ方をする言葉について解説します。
「歯牙にもかけない」とは?意味
「歯牙にもかけない」とは、「全く興味を示さず相手にしない」という意味の言葉です。
「歯牙にもかけない」の概要
中国の古典「史記」に由来する言葉で、「歯牙にもかけない」の「歯牙」は歯や牙が生えている口、そして口から出る言葉のことを指しています。
「興味のある物事ならば人の口に上り話もされるがそうなっていない」という話題にすらならないほど興味がないことを表しています。
一般的には全く関心を示していない興味がゼロに近い様子を表す言葉として使われることが多く、再び話題になることもなくそのまま終わってしまうような関心のなさを意味しています。
あえて無視したり積極的に排除したりというのではなく根本的に興味がわかず意識すら向けない無関心な様子を表す言葉であり、好き嫌いという感情すら沸き起こらないほど興味がないときに使われる表現です。
立場が上のものや優位にあるものが細かいことを気にしない、小さなことを取り上げないといったような「瑣末なことに煩わされていないさま」というニュアンスも含まれています。
「多少でも興味や関心があれば次のチャンスもあるのにそれすらないほど相手にしていない様子」を指す表現なので少し興味が薄かったり関心が低かったりする程度では用いられません。
「歯牙にもかけない」の言葉の使い方や使われ方
・大スターだけあって週刊誌の無根拠なうわさ話は歯牙にもかけない。
・首相は野党からの辞任要求に対して歯牙にもかけない態度を貫いた。
・ネットに飛び交う無根拠なフェイクニュースは歯牙にもかけない。
・弟子志願者の売り込みは歯牙にもかけないで追い返している。
「歯牙にもかけない」の類語や言いかえ
・鼻も引っかけない
「全く相手にせず無視する」という意味の言葉です。
「歯牙にもかけない」とは非常によく似た意味の言葉ですが「歯牙にもかけない」がうわさ話や要求など「自分に向いてはいるが直接的ではないものを相手にしない」という意味でも使われるのに対し、こちらは「直接接触してくる相手を無視する」という違いがあります。
・一瞥もくれない
「ちらりと見ることもなく関わらない」という意味の言葉です。
「歯牙にもかけない」が話題に取り上げないことを意味するのに対し、こちらは視線すら向けない徹底的な関心のなさを表しています。
無関心の程度については大きな差はなくどちらも同じような意味合いで使われています。
・取り合わない
「相手からの声掛けや呼びかけに対応しない」という意味の言葉です。
「話のテーマとしてとりあげることもなく相手にしない」ことを表しており「歯牙にもかけない」とは近しい意味合いです。
直接的接触の求めに応じない様子を表す言葉で、何らかの要求や要望に対して反応を返さないことを指す表現です。
まとめ
「歯牙にもかけない」はやや古めかしい言い回しですが現役で使われている表現です。
知識として知っておかないと意味がわからない言葉なのでこの機会にきちんと覚えておいてください。