この記事では、「油断」と「予断」の違いを分かりやすく説明していきます。
「油断」とは?
たいしたことはないと軽視をして、注意を怠ることです。
うっかり注意を怠ることではなく、みくびって気を許して注意を怠ることを意味しています。
バナナの変色のことで考えてみます。
買ったばかりのころは緑色に近い色をしているバナナも、時間が立つと黄色が濃くなり、やがて茶色い斑点がでてきます。
買ったときには青々とした色をしていたので、まだまだ茶色い斑点はでてこないだろうと思っていると、あっという間に茶色くなってしまうことがあります。
特に気温が高い季節はそうです。
これは、「まあ大丈夫だろう」と物事を軽視し、注意を怠っていたために起こったことです。
今度は熱中症のことで考えてみます。
7月、8月の暑い季節は熱中症に気をつける人は多いですが、9月になって少し涼しくなってくると、7月、8月のころよりは熱中症に対する警戒を緩めてしまうことがあります。
涼しいから大丈夫だろうと思うのです。
暑い季節だったらエアコンをつける、水分補給をこまめにする、車中に子どもを置きっぱなしにしないなど気をつけますが、たいしたことはないと思ってしまうと、こういった注意を怠ってしまいがちです。
この状態は「油断」しているといえます。
「油断」の使い方
たいしたことはないと軽視をして、気を緩めることを指して使用する言葉です。
うっかりミスのことではありません。
「予断」とは?
前もって判断をすることです。
「予」はあらかじめ、前もって、「断」はきめる、さだめるという意味を持つ漢字です。
このことから、前もって決める・定めるという意味であることがわかります。
この言葉は、「予断を許さない」の形で使われることが多くあります。
前もって判断できないという意味で、情勢が不安定なさまを表しています。
情勢とは、そのときどきの様子です。
変わりゆくそのときどきの様子が不安定だと、先を判断することは難しいです。
また、そのような余裕もないことでしょう。
「予断」の使い方
「予断を許さない」の形で使うことが多いです。
「油断」と「予断」の違い
音が似ていて、使用している漢字も似ている2つの言葉ですが、意味は異なります。
前者は、注意を怠ることを意味しています。
後者は、前もって判断をすることです。
注意の意味は含まれていません。
どちらの言葉も「~できない」「~許さない」の形で使われることがありますが、それぞれの言葉が意味しているものは異なります。
「油断」の例文
・『油断していると危険だ』
・『油断しているからだよ』
・『油断せずに傘を持って外出してください』
・『油断していたら転んだ』
「予断」の例文
・『予断を裏切る』
・『予断を許さない』
・『予断を下す』
・『予断はできない』
まとめ
「ゆだん」「よだん」と音が似ていて、使用している漢字も似ていますが、意味は異なる言葉です。