社会の問題でよく出題されやすいのが、「洒落本」と「黄表紙」についてです。
この記事では、「洒落本」と「黄表紙」の違いを分かりやすく説明していきます。
細かな違いを知って、知識をもっと深めていきましょう。
「洒落本」とは?
洒落本(しゃれぼん)とは、江戸時代の中期に流行った小説のことです。
遊里とよばれる娯楽施設で、お客さんともてなす遊女の会話がこまやかに描かれています。
今で言うところのぶ厚い絵本のようなもので、ページ数は50枚程度のものが多かったようです。
洒落本のセオリーと言えるのが「通(つう)」や「洒落(しゃれ)」です。
人間味あふれるさまや、江戸時代の美意識をあらわした言葉で、この時代ならではのおかしみを追求している言葉になります。
洒落本の代表作としては、山東京伝の古契三娼・夢中山人寝言の辰巳の園などが挙げられます。
主に上方の文化で流行ったもので、安永と天明の時代にもっとも読まれました。
当時の人々の心を大きくつかんだ物語のひとつです。
「黄表紙」とは?
黄表紙も江戸時代の中頃に、生まれた小説のことです。
黄色い表紙をしていたことから、この名前が付きました。
文字と一緒に可笑しみのあるイラスト、そして吹き出しなども混ざっていて、今でいうところの「漫画」に近いテイストになっています。
黄表紙は毎年、お正月に刊行されていました。
テレビやラジオなどがない、江戸時代のお楽しみのひとつだったようです。
黄表紙の代表作として、恋川春町の金々先生栄花夢などがあります。
恋川春町は浮世絵師としても活躍した、ベストセラー作家で多くのファンの心をつかむ作品を数多く発表しました。
黄表紙と洒落本は当時とてもヒットしたのですが、寛政の改革によって「風紀を乱すもの」とみなされ厳しく処罰されるようになります。
「洒落本」と「黄表紙」の違い
江戸時代中期に流行った洒落本と黄表紙。
時代がとても似ているので、間違えて覚えてしまうこともあります。
「洒落本」と「黄表紙」の違いを、分かりやすく解説します。
・恋愛小説と漫画の違い
洒落本は遊郭での男女の会話を、色っぽくまたユーモラスを交えて紹介したものです。
それに対して黄表紙は吹き出しなどをはさみながら、当時のしゃれや風刺を漫画風につづったものです。
洒落本も黄表紙も松平定信の寛政の改革において、厳しく出版が制限されるようになります。
出版された時代は同じですが、描かれた内容が少しだけ異なっています。
・黄色い表紙かどうか
黄表紙は黄色い色の表紙が付いていたので、この名前がついています。
それに対して洒落本は、一般的な表紙が巻かれていたようです。
まとめ
洒落本と黄表紙の違いについて、分かりやすくお伝えしました。
どちらも江戸時代の中頃に大ヒットした、風情あふれる小説と漫画です。
現代のようにネットやテレビが無い時代において、洒落本や黄表紙は庶民の楽しみのひとつだったようです。
江戸時代の娯楽文化のひとつとして学習してみてください。