この記事では、「熟す」と「腐る」の違いを分かりやすく説明していきます。
「熟す」とは?
「熟す」とは、「熟する」の五段化したもの、文語形です。
「熟する」には4つの意味があります。
1つめは、果物などが食べるのに調度よい状態になるです。
柿のことで考えてみます。
木になっている柿は、最初のころは緑色をしています。
周囲の葉と同じような色をしており、目立ちません。
時間が経つにつれて、緑色からオレンジ色に変わってきます。
この状態になると遠くからでも目立ちます。
緑のときに食べてもおいしくありませんが、オレンジ色になったときなら、甘味を感じることができます。
食べるのにちょうどよくなったのです。
この状態になることを「熟す」といいます。
2つめの意味は、何かをするのにちょうどよい時期になるです。
タイミング次第で物事の運びが変わってくることがあります。
まさにそのとき、ちょうどよいと思えるときを「機が熟する」といいます。
3つめは、歌舞伎や音曲などに慣れて上達するです。
未熟だったものが、上手にできるようになることをいいます。
4つめは、ある目新しくて珍しい言葉が、一般に認められるようになるです。
「熟す」の使い方
果物や野菜などが食べるのにちょうどよい状態になるという意味で使用することが多いです。
「腐る」とは?
「腐る」には数多くの意味がありますが、主なものは6つです。
1つめは、微生物の働きで植物や動物が分解されて変質する、食物がだめになるです。
果物を長く室温に放置していると、ぐずぐずな状態になってきます。
この状態になったものは食べない方が望ましいです。
こういった状態になることを「腐る」といいます。
2つめは、体の組織に穴が開いたり潰れたりして崩れることです。
凍傷になると、このような状態になることがあります。
3つめは、物の状態が変わって、変なニオイがしたり、汚れたりして、使えなくなることです。
水槽に水を入れておいて長期間放置していると、水が臭ってきて、どろどろにもなってきます。
この水はもう使えないでしょう。
4つめは木・繊維・金属などがぼろぼろになるです。
屋外に木や金属などを長く放置していると、風化や酸化によってぼろぼろになってきます。
この状態を指します。
5つめは、救いようのないほど精神がだめになるです。
6つめは、思い通りに物事が進まないため、やる気がなくなるです。
「腐る」の使い方
食べものが食べられない状態になることや、体の組織が破れ崩れることを指して使用することが多いです。
「熟す」と「腐る」の違い
「熟す」は、果物などが食べるのにちょうどよい状態になることです。
「腐る」が意味する状態になったものは、食べるのには適していません。
まとめ
果物は次第に「熟す」が意味する状態になり、その状態からさらに時間が経つと「腐る」が意味する状態になることがあります。
食べられるのか、食べられないのかという点が違います。