小説を読んでいると、難易度の高い言葉に出会うことがあります。
この記事では、「熾烈」と「苛烈」の違いを分かりやすく説明していきます。
違いを知って、文学のエキスパートになりましょう。
「熾烈」とは?
熾烈(しれつ)とは、メラメラと燃える炎のように勢いが強いこと。
近寄れないくらい、火花が飛び散っていることです。
荒々しいことの、例えとして用います。
熾烈という言葉には「熾」という、普段あまり見かけない漢字が使われています。
「熾」は火おこしから生まれた言葉。
そのため「エネルギッシュ」という意味があります。
「烈」は火の勢いが強いという訳があるので「熾烈」で「勢いが強いこと、激しいこと」になります。
熾烈を用いた文章には、次のようなものがあります。
「同期同士ということもあり、2人の間には熾烈な出世争いがおこなわれている」「競合他社との熾烈な戦いが予想される」熾烈はバチバチとした火花が見えるような、情熱的な戦いのことです。
「苛烈」とは?
苛烈(かれつ)とは、手厳しいこと。
見守る人が痛ましい気持ちになるくらい、辛く激しいことです。
シビアな状況をあらわす言葉になります。
苛烈の「苛」には「むごい」という意味があります。
「むごい」とは目を覆いたくなるくらい、激しい仕打ちに用いる言葉です。
「烈」には「少しの気の緩みも許されないくらい、ピリピリと張りつめた空気」という訳があります。
そのため緊張感がただよっていて、ひと息つく暇がない状態が「苛烈」です。
具体的な使い方を見ていきましょう。
「SNSには苛烈なバッシングが並んでいた」そして「負けたチームに、苛烈なブーイングが寄せられた」などがあります。
肉体的な戒めに加えて、精神的な重圧もふくまれるのが「苛烈」です。
「熾烈」と「苛烈」の違い
どちらも同じように見える熟語なので、見極めが難しいです。
「熾烈」と「苛烈」の違いを、分かりやすく解説します。
・より厳しい環境は「苛烈」
「熾烈」と「苛烈」には、どちらも「程度がはなはだしい」という意味があります。
熾烈は激しく燃える炎から生まれた言葉なので、スポーツや営業争いなどの「前向きな競争」にもちいます。
そのためビジネスで取り沙汰されるのは「熾烈」です。
また「苛烈」も同じように、激しい状況を伝えるもの。
苛烈には「残酷でむごい」という、より厳しい環境をにおわす意味もふくまれています。
「苛烈な戦争」「苛烈なサバイバルゲーム」などがその例です。
情熱的な競争には「熾烈」、厳しい環境には「苛烈」です。
まとめ
「熾烈」と「苛烈」の違いを分かりやすくお伝えしました。
どちらも厳しく、激しいこと。
対立する何かとの競争を伝えるのが「熾烈」。
「熾烈な争い」という言い方をします。
またむごくて残酷な様子には「苛烈」を。
目を覆いたくなるような、せちがらい状況に用いていきます。
そのため程度が激しいのは「熾烈」よりも「苛烈」になります。
正しい語彙を覚えていきましょう。