皮肉?賞賛?たまに見聞きする「現金な奴」とはどんな意味の言葉なのでしょうか?
また、どんな由来があり、どんな使い方をされているのでしょうか?
この記事では、「現金な奴」の意味を分かりやすく説明していきます。
「現金な奴」の意味とは?
自分の都合や利益か不利益かなど、損得勘定によって態度や立場、主張や言動などを簡単に変える人を指す言葉です。
「現金な奴」の由来とは?
「現金」とは、文字通り「お金」のことを指します。
江戸時代では、品物の売買取引や、サービス利用の料金を支払う際に「現金払い」ではなく、「ツケ払い」をする人が多かったそうです。
商人にとって「ツケ払い」のお客は、「貸し倒れ(支払ってもらうはずのお金や債権が回収できずに損失となること)」のように対価を払ってもらえるかどうか分からず、さらには取り立てに余計な手間暇が掛かる場合もあり、リスクを持った存在でした。
それに対して、その場で対価を支払ってくれる「現金払い」のお客は、商人たちにとって非常にありがたい存在として扱われていました。
そのことから、商人たちは「ツケ払い」のお客よりも、「現金払い」のお客から優先、ひいては多少の無理でも聞き入れて贔屓(ひいき)にサービスを提供したそうです。
同じお客でも「ツケ払い」か「現金払い」かで、態度や扱いを変える商人に対して、皮肉を込めて「現金な奴」という言葉が生まれたとされています。
「現金な奴」の類語
「現金な奴」と同様に、損得勘定で自分の立場や言動を変える人を指す言葉として、以下があります。
・お調子者
・虫のいい奴
・ちゃっかりした奴
・打算的な奴
「現金な奴」の使い方
基本的には、自分にとって損か得かでコロコロと言動を変える人に対して、「利己的な人」「打算的な人」、「ずる賢い人」の言い換えとして皮肉的な意味で用いられることが多いようです。
しかし、親しい間柄の相手に対しては、「頭の良い人」や「頭の回転が速い人」、「商売上手」、「世渡り上手な人」という意味で、皮肉を交えた賞賛として「現金な奴」が用いられている例もあるようです。
「現金な奴」を使った例文
・『こっちの頼み事に、最初は態度を渋ってたくせに、報酬を出すといった途端に返事をしてきて現金な奴だ』
・『あの人は、割り勘だと伝えた瞬間に態度がそっけなくなって現金な奴だ』
・『現金な奴は収入や社会的地位が高いと分かった途端に態度を変えてくる』
・(賞賛の意味で)『君は相手に対する立ち回りが上手で、本当に現金な奴だ』
まとめ
「現金な奴」とは、自分の都合や利益か不利益かなど、損得勘定によって態度や立場、主張や言動などを簡単に変える人を指す言葉です。
基本的には、損得勘定で自分の態度や言動を変える人に対する皮肉として用いられています。
しかし、親しい相手などに対しては、「頭の良さ」などを皮肉を交えて讃えるときに用いられる例もあるようです。