お正月には神社に初詣に出かけ、お盆にはお墓参りをし、クリスマスをケーキで祝うというような、ある意味不信心な一般の日本人ですが、歳をとると気にするのは、厄年のことです。
前厄、後厄などを合わせると何年もびくびくしながら過ごすか、厄払いの祈祷をしてもらうことになります。
ここで出てきた「祈祷」、「厄払い」とはどういう意味でしょうか。
2つの違いは何でしょうか。
この記事では、「祈祷」と「厄払い」の違いを分かりやすく説明していきます。
「祈祷」とは?
「祈祷」という言葉は、「祈」も「祷」も、共に「いのる」という意味であることからわかるように、「しっかりと祈る」ことです。
また、専門家に「祈ってもらう」という意味も含まれています。
一部には、仏教のみで行われると記載されている解説記事もあるようですが、実際には、神道においても、仏教においても使われる言葉です。
英語では、「prayer」が最も近いでしょう。
「厄払い」とは?
「厄払い」とは、文字通り「厄を払う」ことです。
「厄」とは、人に訪れる苦しみです。
「厄払い」とは、「人に訪れる苦しみを取り払う」ということになります。
「厄除け」が、訪れる厄を寄せ付けないようにするのに対して、「厄払い」とは、既に訪れた厄を払うという意味になります。
「厄払い」の方法としては、祈祷や参拝以外に、他人への施しも含まれる場合もあります。
英語では、「exorcism」が近い意味ですが、同じ意味の単語はありません。
「祈祷」と「厄払い」の違い
「祈祷」と「厄払い」の違いを、分かりやすく解説します。
2つの言葉は、通常はともに「悪いことを払う」という意味であることは同じです。
違いと言えば、「厄払い」の手法の一つが、「祈祷」であるということです。
別の言い方をすれば、「祈祷」の目的の一つが「厄払い」だとも言えます。
つまり、お互いに補完するような関係にあるのがこの2つの言葉なのです。
「祈祷」の例文
「祈祷」の例文は以下のようになります。
・『新年にあたって、病気平癒の御祈祷をお願いしました』
・『神社に着いたら、社務所で受付して、体を清めて神主をお待ちします』
「厄払い」の例文
「厄払い」の例文は以下のようになります。
・『厄除けのお札に願い事を書き込んで、お祈りをしてもらいました』
・『今年は本厄なので、厄除けの守りを肌身離さず持っています』
まとめ
この記事では、「祈祷」と「厄払い」の違いを、解説してきました。
厄年というのは、人生の中で何度も出会うものです。
多くの日本人は、普段は宗教的なことや神様のことを信じていなくても、厄年だと言われると何かしなければいてもたってもいられない気持ちになります。
そのような時、一度の「厄除け」の「祈祷」が心を安らかにしてくれるということも事実です。
日本人にとって、このような行為は既に宗教的な行事ではなく、カウンセリングに近いものなのかもしれません。