この記事では、「継承」と「踏襲」の違いを分かりやすく説明していきます。
「継承」とは?
前代の人の身分、仕事、財産などを受け継ぐことを意味する「継承」。
ここでのポイントは、「継承」の場合、前代の人から受け継ぐものが明確なものであるという点です。
例えば、前代の名前や財産など、目に見えるものを受け継ぐことを「継承」と言います。
「継承」の類語は、「受継ぐ」や「伝承」、「後継」、「世継ぎ」、「バトンタッチ」などとなります。
「継承」の使い方
「継承」は、一般的に「継承する」、「継承させる」、「継承していく」といった使い方となります。
そのほか、「王位継承」や「皇位継承」、「継承者」、「継承争い」、「継承問題」などがあります。
「踏襲」とは?
前人のやり方などをそのまま受け継ぐことを意味する「踏襲」。
ここでのポイントは、受け継ぐものが、前人のやり方などで、財産など何か目に見えるような明確なものではないという点です。
前人から何かを受け取るのではなく、あくまでも、前人のやり方といったものを受け継ぐことを意味する言葉となります。
「踏襲」の類語は、「従う」、「則る」、「準拠」、「準ずる」などとなります。
「踏襲」の使い方
何を「踏襲する」のかといった使い方が多い、「踏襲」。
「踏襲しつつ」や「踏襲する形」などといった使い方もあります。
そのほか、「踏襲」を用いた四字熟語もあります。
「前例踏襲」の意味は、前例を踏襲することです。
「継承」と「踏襲」の違い
同じ前人から受け継ぐことを意味する言葉でも、何を受け継ぐのかが異なる「継承」と「踏襲」。
「継承」の場合は、身分、仕事、財産などを受け継ぐことを意味しますが、「踏襲」の場合は、あくまでも、やり方を受け継ぐこととなります。
その点に大きな違いがあります。
「継承」の例文
・『私が生まれた家は伝統文化を継承していく家で、子供の頃、その事について悩み苦しんだ経験があります。』
・『最近、ニュースで皇位継承の話を耳にするようになりました。』
・『私は一人娘で、実家のお墓の継承者もいないため、今回、墓じまいを行うことにしました。』
・『テレビでニュースを見ていると、どこの国でも継承者問題があることがわかります。』
「踏襲」の例文
・『私は、先代の運営方法を踏襲しつつ、今の世の中にあった運営方法も加えていくつもりです。』
・『今までのやり方を素直に踏襲するだけで良いのだろうかと疑問に思う。』
・『社長交代にあたり、前任社長の教えを踏襲するつもりです。』
・『先輩のやり方を踏襲したおかげで、営業成績をアップすることができました。』
まとめ
以上のような違いから、同じ受け継ぐ行為でも、何を受け継ぐのかを踏まてたうえで「継承」が適しているのか、「踏襲」が適しているのか、考慮する必要があります。
目に見えるものを受け継ぐ場合は「継承」。
やり方といった目に見えるようなものではない場合は「踏襲」が基本です。