「繰延」と「繰越」の違いとは?意味や使い方、例文など分かりやすく解釈

「繰延」と「繰越」の違い違い

経理の仕事をしていると、細かい区分けに悩むことがあります。

この記事では、「繰延」「繰越」の違いを分かりやすく説明していきます。

正確な言葉の意味を知って、簿記のスキルを上げていきましょう。

「繰延」とは?

繰延(くりのべ)とは、決済を延長すること。

おもに経理が帳簿つけをおこなうときに用いる表現です。

繰延は費用について処理する場合。

決算について処理する場合の2パターンがあります。

例えば次期の費用に、当期に回すべき費用がふくまれていたら、会計処理で正しい仕分けをおこないます。

また当期の決算に、本来は次期に発生する収益がふくまれていたら、その分を当期の決算をマイナスにする作業をおこないます。

このように「本来あるべき期間に、収支の訂正作業をおこなうこと」を繰延と呼んでいます。

プラスとマイナスを正しくなおすことが繰延です。

繰延をおこなうことで、実態にみあった決算書がつくれます。

粉飾決算を防ぐことができるため、風通しのいい経営に欠かせないものです。


「繰越」とは?

繰越(くりこし)とは、次期に勘定を持ちこすこと。

次回の会計におくることです。

こちらも会社の決算処理をおこなうときに用いる表現です。

繰越をおこなうタイミングは、当期の会計処理がすべて終わったタイミングです。

繰越金には企業が得た「資産」、そして企業が請け負った「負債」の2パターンあります。

繰越金は当期の決算書には盛り込めなかった金額なので、資産と負債どちらも次期に記入して処理をおこなっていきます。

ちなみに繰越と同じくらいよく耳にするのが「繰越金」「繰越欠損金」です。

繰越金とは次期におくる「企業の利益」のこと。

そして「繰越欠損金」とは、企業が節税対策として用いる欠損金のことです。


「繰延」と「繰越」の違い

どちらも決算時に必要な言葉ですが、区分けが難しいです。

「繰延」「繰越」の違いを、分かりやすく解説します。

・どこまで延長するかの違い

「繰延」「繰越」はどちらも「延長する」という意味があります。

ただどこまで延長するか、その内容は少しだけ異なっています。

次の回、つまり次期に先送りするのが「繰越」です。

そして「繰延」は次期をふくめた、数年後に先送りするというニュアンスがあります。

たとえば500万円を一括で、次期の決算に組み入れる場合は「繰越」

500万円の費用を100万円ずつ分割して、5年の予算に組み入れる場合は「繰延」となります。

シンプルな延長が繰越。

繰越よりも応用を効かせやすいのが繰延です。

まとめ

「繰延」「繰越」の違いを、分かりやすくお伝えしました。

どちらも経理にまつわる言葉です。

繰延とは決済を、延長させること。

資金を数年間に分割して、決算書に盛り込みたいときにも用います。

また繰越とは、次期の決算に持ちこすこと。

当期に含まれない資産と負債を、次期にまわすことです。

どちらも企業のスマート経営に欠かせない、重要な作業です。

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