同じ漢字であっても、わずかな文字の差で七変化するものもあります。
この記事では、「自ずと」と「自ずから」の違いを分かりやすく説明していきます。
ニュアンスの差を、しっかり学んでいきましょう。
「自ずと」とは?
自ずと(おのずと)とは、自然にということ。
周りの力を借りなくても、自然にそうなることです。
「そのもののパワー」によって、無理なくそうなったという意義です。
「自ずと」には「自」という漢字がはいっています。
あまり知られていませんが「自」には「独り・一人」という意味もあります。
つまり他人の圧力ではなく、個人のパワーによって動き出すのが「自ずと」。
放っておいても勝手に動き出してしまう、ぜんまい仕掛けのロボットのような言葉です。
自ずとの使い方を挙げると「英語の本を読んでごらん。
自ずと理解できるようになるよ」や「好きなことを続けていけば、結果は自ずと付いてきます」などがあります。
自分の努力や意志で前にすすむのが「自ずと」です。
「自ずから」とは?
自ずから(おのずから)とは「ひとりでに」のこと。
放っておいても、時間が流れていくうちに自然とそのように落ちつくという意義があります。
こちらの「自ずから」にも「自」という漢字が混じっています。
こちらの「自」は、人の手が加えられずにそうなること。
つまり「自然」という熟語に、とても近い意味があります。
そのため「自ずから」という言葉は「思いがけずに起こったこと・偶然できたこと」というニュアンスが強く含まれています。
ためしに例文を挙げてみると「彼の魅力?一緒に過ごしていれば、自ずから見えてくるよ」や「空気が涼しくなり、自ずから秋風が吹いてきた」などがあります。
「自ずと」と「自ずから」の違い
正しく把握しているようで、意外と難しいのがこちらの言葉です。
「自ずと」と「自ずから」の違いを、分かりやすく解説します。
・意志があるのは「自ずと」
「自ずと」と「自ずから」には、どちらも「ひとりでに」という意味があります。
どちらも同じように使えるものの、より強い意志が感じられるのが「自ずと」です。
「自ずと」は「自分」という熟語を重ね合わせて、考えていける言葉。
誰の力にもたよらない、己の力だけでそうなるという意味があります。
それに対する「自ずから」は、オブラートにくるまれた状態。
強い「自ずと」に比べて、少しだけ弱々しい表現になります。
「自然に」という意味合いがあるので「無理なくあるがままにそうなっていく様子」を示します。
強い「自ずと」。
弱い「自ずから」。
抑えておくと便利に使いこなせます。
まとめ
「自ずと」と「自ずから」の違いを分かりやすくお伝えしました。
どちらも「独りでに」という意味がある言葉です。
「自ずと」は周りの力に関係なく、そうなること。
「自ずから」は自然にそうなることです。
どちらも僅かな言い回しの違いですが、意味は微妙に異なっています。
日本語の美しさを、あじわっていきましょう。