この記事では、「艱難辛苦」と「七難八苦」の違いを分かりやすく説明していきます。
「艱難辛苦」とは?
「艱難辛苦」【かんなんしんく】とは、言い表せないほどの困難な目にあって辛く苦しい思いをすることです。
「艱難辛苦」は「艱難」と「辛苦」からなる言葉です。
漢字の「艱」は悩みやくるしみを、「難」はくるしみや災いを表しており、これらを組み合わせた「艱難」は悩みや苦しみが大きいことを表しています。
また「辛苦」は辛さ、苦しさを感じることを表しています。
このように「艱難辛苦」は、辛いこと、苦しみや悩みを表す漢字が四つも重なっており、困難や災いでひどく苦しむさまが強調されているのです。
「艱難辛苦」は、人生の中でもめったに経験することのないような災いや問題を受け、大きな苦労を伴うことを表します。
すぐに乗り越えられるような困難でこの言葉を使うと大げさになるので、注意が必要です。
類語には「四苦八苦」【しくはっく】や「千辛万苦」【せんしんばんく】があります。
これらも、使われている漢字を見て分かるように、苦しみが幾重にもある様子を指しています。
「艱難辛苦」の例文
・『祖母の人生は、両親の死、借金、難病との闘い、と艱難辛苦の連続だったそうだ』
・『艱難辛苦に打ち克ち、やっとの思いで地位を築き上げた』
「七難八苦」とは?
「七難八苦」【しちなんはっく】とは、あらゆる災いや苦しみを指す言葉です。
これは仏教経典に載っている言葉のひとつで、漢字が示す通り、七つの災いと八つの苦しみを意味し、人生で出会うさまざまな苦難を表しています。
災い、苦しみが指すものは諸説ありますが、災いは火事、傷害、霊障、刑罰など、苦しみは死、病、負いなどが含まれています。
「七難八苦」の類語は、同じく苦難が重なることを意味する「四苦八苦」「千難万苦」です。
さまざまな苦難にあうこと、今までにさまざまな困難があったことを伝える言葉で、山陰で尼子家に仕えた武将が「尼子家が復興できるなら、どうか私に七難八苦を授けてくれ」と言葉を残したことでも知られています。
「七難八苦」の例文
・『七難八苦を覚悟し、自分の会社を起ち上げる』
・『七難八苦の人生だったが、ささやかながら楽しいこともあった』
「艱難辛苦」と「七難八苦」の違い
「艱難辛苦」と「七難八苦」の違いを、分かりやすく解説します。
「艱難辛苦」は、めったにないようなひどい困難にあって辛く苦しい思いをすることです。
「七難八苦」は人生におけるさまざまな苦難を意味しています。
どちらも同じように苦難が重なることを意味しており、互いに類語の関係が成り立ちます。
「七難八苦」も相当な苦難を表していますが、「艱難辛苦」は苦難や災いを意味する漢字が集まって壮絶さが増しているため、より困難や苦悩の強いニュアンスが伝わってきます。
まとめ
「艱難辛苦」と「七難八苦」はどちらも困難や苦悩を表し、互いに類語の関係にあります。
「艱難辛苦」は難解であまり一般的ではない表現です。
多用すると大げさになりやすいので、普段は「七難八苦」を使ったほうが自然で伝わりやすいでしょう。