「苦情」と「クレーム」の違いとは?分かりやすく解釈

「苦情」と「クレーム」の違い違い

この記事では、「苦情」「クレーム」の違いを分かりやすく説明していきます。

「苦情」とは?

「苦情」【くじょう】とは、トラブルの被害にあった人が先方に不満や不平を訴えることです。

本来は「苦しい事情」という意味を持つ言葉です。

漢字の「苦」はくるしむことを、「情」は置かれている状況を表していることからその旨がうかがえます。

「苦情」は、他人から不利益を被ったり不快な目に合ったりして苦しみ(不平や不満の感情)が生まれたとき、その感情を先方にぶつけることを指しています。

相手のせいで不愉快な気持ちになっていることを理解してほしい、トラブルの原因を解消してほしいときに「苦情」を伝えるのです。

類語には「不平」「文句」があります。

いずれも不満を訴える行為ですが、「不平」は納得がいかないために「苦情」を言う、「文句」は愚痴や個人的な不満を口にすることを意味しており、ニュアンスは微妙に異なります。


「苦情」の例文

・『隣人が夜中に大きな物音を立ててうるさいので、苦情を言いに行った』

・『市長が不適切な発言をしたため、電話で苦情が殺到した』


「クレーム」とは?

「クレーム」とは、消費者や顧客が企業に対し、正当な権利を主張すること、損害を請求することを指します。

これは、英語表記の“claim”が和製英語として使われるようになったものです。

もとは「法上の権利を主張する」という意味の法律用語でしたが、和製英語の「クレーム」は言葉の解釈が拡大し、サービスに対する不満や苦情も含めてそう呼ばれるようになりました。

英語の“claim”は権利を主張する、損害賠償を要求することを表しており、一般に「クレーム」は顧客が購入・契約した商品やサービスに不具合が生じたとき、イメージしていたものと異なる商品やサービスを購入させられたときなどに生じます。

損害が発生していなくても、企業の姿勢に対する不信感や嫌悪感、誇大広告や不十分な説明、スタッフの心証の悪さなどが「クレーム」の対象になることも少なくありません。

これらは「苦情」に通じるものがあります。

なお、言いがかりに近いクレームをする人は「クレーマー」とも呼ばれます。

「クレーム」の例文

・『買ったらケーキに髪の毛が混ざっていたので、ケーキ店にクレームを入れた』

・『クレームに対応してお客様の怒りをしずめる』

「苦情」と「クレーム」の違い

「苦情」「クレーム」の違いを、分かりやすく解説します。

「苦情」は、トラブルを被った人が不平や不満を先方に訴える行為です。

「クレーム」は、トラブルを被った顧客が企業に正当な権利や損害を請求することを指します。

「苦情」は怒りや不快感などの感情が生じたことを伝える行為ですが、「クレーム」は感情に関係なく、顧客としての権利や損害賠償を要求するところが異なります。

また「苦情」は個人間、あるいは個人と企業の間でおこなわれるものですが、「クレーム」は個人間で発生しないところも大きな違いといえるでしょう。

ただ、和製英語の「クレーム」「苦情」と混同して使われており、実質的な内容は「苦情」でありながらそれを「クレーム」と呼ぶケースも散見されます。

まとめ

「苦情」「クレーム」は、ほぼ同じ意味を持つように見えますが、それぞれの意味ははっきり異なっています。

「苦情」「クレーム」を言い間違えても通じますが、意味を理解して正しく使い分けをすることが望ましいです。

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