この記事では、「苦慮」と「苦労」の違いを分かりやすく説明していきます。
「苦慮」とは?
思い悩むことを意味する「苦慮」。
思い悩むだけではなく、苦心し色々と考え込むことを意味します。
何か悩み事があるとき、問題ごとが発生したとき、など、それらを解決するために自分はどうすれば良いのか、何か良い方法はないのか、何が間違っていたのか、など、直面している問題に対し原因を追究し解決するための手段を考える意味もあります。
そのため、日常での小さな悩みには使用することはできません。
例えば、明日の夕食メニューに悩んでいる場合は、「苦慮」に値しないということです。
人生において大きな悩み、深刻な悩み、また、仕事での大きな悩みなどについて用いられる言葉となります。
「苦慮」の使い方
「苦慮」する、といった使い方のほか、四字熟語には、心を痛め、色々と悩む、そして、苦しむ、焦る、心配する、などといった意味を持つ「焦心苦慮」があります。
「苦労」とは?
精神的にも肉体的にも、苦しみ悩む様子が「苦労」。
そのほか、他人の世話になる行為や迷惑をかける行為を意味することもあります。
「苦労」の場合、精神的な悩みだけを指す言葉ではなく、体への苦しみ、大変さ、に対しても指す言葉となります。
「苦労」の使い方
「苦労する」、「苦労を掛ける」、「苦労した」のほか、「苦労の種」、「苦労人」、「ご苦労様」といった言葉もあります。
そのほか、「苦労」を用いたことわざもあり、若い時の苦労は必ず将来の役に立つといった意味の「若い時の苦労は買ってでもしろ」は有名なことわざのひとつです。
「苦慮」と「苦労」の違い
同じ思い悩む様子を意味する「苦慮」と「苦労」ですが、内容の違いには、肉体的なものも含まれるかの有無が大きく関係しています。
「苦慮」の場合、精神的に苦しみことだけを意味するのに対し、「苦労」は、精神的にも肉体的にも苦しむ様子を指しています。
「苦慮」の例文
・『今後の感染症対策に教師一同、苦慮しています。』
・『日々寄せられる苦情の電話対応には、みんな、苦慮しています。』
・『父が会社の資金繰りに苦慮しているようで心配です。』
・『何か良い方法はないかと社員一同、苦慮する。』
「苦労」の例文
・『私の母は、女手一つで苦労し、私を大学まで行かせてくれました。』
・『子供にお金の苦労だけはさせたくありません。』
・『若いころ、苦労した人は、年を重ねるほど、良い顔つきになります。』
・『人気の商品を苦労して手に入れることができました。』
まとめ
以上が「苦慮」と「苦労」の違いです。
一般的には、「苦労」の方がよく目にする言葉となりますが、同じような意味で「苦慮」という言葉があることも知っておくことが大切です。
「苦慮」と「苦労」は、時と場合によって適切な使い分けを求められる場合もあります。
そのため、その状況が精神的なものだけなのか、それとも、肉体的なものもあるのか、といった違いを良く考えた使い分けが必要です。