法治国家の日本に長く住んでいれば、「裁判」というものを聞いたことがない、全く知らないという人はほぼいません。
ですが「裁判」とはどういうものかや、「訴訟」と何が違うのかと問われると、答えられる人もあまりいないでしょう。
この記事では、「裁判」と「訴訟」の違いを分かりやすく説明していきます。
「裁判」とは?
「裁判」とは、社会関係で発生する利害の対立や紛争を解決するために、社会的な強い権威を持つ第三者が、強制力を持って判定を下すことです。
お互いに譲れない言い分があり、当事者だけでは決着を付けられず、公平な第三者に判断してもらうことはあります。
しかし何の権威もない第三者だと、判断を不服に思う人が納得できないので、強制力や拘束力のある権威をもつ人に判断してもらうのが「裁判」です。
罪を犯した人が裁かれることだと思っている方もいますが、「裁判」を受けるのは犯罪者だけとは限りません。
犯罪者が「裁判」を受けるのは、こういった罪を犯したという警察側の主張と、犯人側の無罪あるいはもっと軽い罪だという主張の対立を、第三者に公平に判断してもらうためのものです。
「訴訟」とは?
「訴訟」とは紛争や対立を解決させるため、公平な第三者に関与してもらい、解決のために意見を仰いで問題の解決を図ることや、それをしてもらうための手続きです。
日本で「訴訟」という場合、第三者として意見を仰ぐ相手は「裁判」官であり、法廷でお互いの言い分を伝え、お互いの言い分の裏付けとなる証拠を示しあい、最終的に判決を下して貰うことを指します。
実際に第三者に判決を下してもらうために言い分を伝え、証拠を出し、判決を聞くことも「訴訟」ですが、そうしてもらうために第三者に関与して欲しいとうったえることも「訴訟」です。
「裁判」と「訴訟」の違い
「裁判」はお互いの言い分やその証拠を見て、どちらの意見が正しいか正しくないかを判定することであり、その点は「訴訟」も同じです。
法律事務所でも、「裁判」と「訴訟」を同じものとして扱い、同じように説明されます。
しかし「訴訟」には、その「裁判」を起こしたいと申し込むことも含まれるのが、「裁判」と「訴訟」の違いと言えるでしょう。
まず、説明や証言、証拠から公権力を持った第三者に実際判断してもらうのが「裁判」です。
そしてなにかがあったからその「裁判」をしてもらいたいと訴えて、「裁判」をしてもらえるように手続きを済ませ、実際に「裁判」をしてもらい、どちらの意見が正しいのか判定を下してもらうという一連の流れが「訴訟」と言えます。
まとめ
法の専門家ではない一般人が言う「裁判」と「訴訟」は、基本的には同じものを指していると考えていいでしょう。
ほとんど同じではありますが、「裁判」は判決を下すまでの話し合いを指し、「訴訟」は裁判をしてもらうために訴えることや、そのための手続きも含まれると覚えておけば問題ないはずです。