この記事では、「視聴」と「拝聴」の違いを分かりやすく説明していきます。
「視聴」とは?
見ることと聞くことです。
「視」はじっと見る、「聴」は注意してきく、という意味を持つ漢字です。
テレビのことで考えてみます。
テレビには映像が映し出され、音が流れてきます。
これらを楽しむために、映像を「見て」、音を「聞き」ます。
見ることと聞くことをしているのです。
この場合は「テレビを視聴する」といいます。
見るだけ、聞くだけのことではありません。
たとえば、音楽は目で見ることはできません。
音楽を楽しむときには耳を使います。
この場合は、「見る」という行為は行っておらず、「聞く」という行為を行っていることになります。
写真集は写真を「見て」楽しむものです。
そこから音が出てくることはないので、耳を使って「聞く」ことはしません。
こういったものは、「見る」あるいは「聞く」しか行っていないので「視聴」とはいいません。
「視聴」の使い方
目を使って見て、耳を使って聞くことを同時に行うことを指して使用します。
たとえば、テレビや映画などは見ることと聞くことを行っているので、これにあたります。
見る、聞く、どちらか一方しか行っていない場合には使用しません。
「拝聴」とは?
つつしんで聞くことです。
「聴く」の謙譲語になります。
「拝」には自分の動作に添える謙譲語という意味があります。
つまり「拝聴」は「聴」という動作に添えることで謙譲語になっているのです。
この言葉に使われている漢字で動作を表すものは「聴」です。
つまり、見ることや触ることではなく、聞くことだけを指していることになります。
見る、触る、嗅ぐなどの動作が伴わなくても、聞くことであれば「拝聴」といえます。
つつしんで聞くことなので、バラエティー番組やお笑い番組を聞くことではありません。
「拝聴」の使い方
聴くという言葉を相手を敬う形にしたものです。
相手を敬う気持ちを込めて使用をします。
聞くことなので、ラジオを聞く、専門家の意見を聞くなど、耳を使う動作に対して使用をします。
つつしんでという意味が含まれているため、軽はずみなことには使用しません。
「視聴」と「拝聴」の違い
どちらの言葉にも、聞くという意味が含まれていますが、やや意味合いが異なります。
前者の言葉は、聞くだけでなく見るという意味も含まれています。
後者の言葉は、聞くことで見るという意味は含まれていません。
また、たんに聞くことではなく、つつしんで聞くことです。
「視聴」の例文
・『テレビを視聴する』
・『家で視聴する』
・『簡単な操作で視聴できます』
「拝聴」の例文
・『拝聴させていただく』
・『拝聴してこのように感じました』
・『ラジオを拝聴しました』
まとめ
どちらの言葉にも聞くという意味が含まれていますが、同じ聞くではありません。
一方は見るも同時に行われます。
もう一方はつつしんで聞くことです。