既婚女性の暮らしぶりを伝える言葉は複数あります。
この記事では、「貞節」と「貞淑」の違いを分かりやすく説明していきます。
正しいニュアンスを知っていきましょう。
「貞節」とは?
貞節(ていせつ)とは、女の操(みさお)を守りとおすこと。
簡単にいうと、奥さんが夫以外の男性と交わりを持たないことです。
節度あるおこないをするのが「貞節」になります。
有名な歌にもなった「女の操」とは、女性が守るべき節操のことです。
日本では古くから女性は3歩下がって、男性を支えるものとされてきました。
大黒柱である夫を、バックヤードから応援するのが妻の務めだったのです。
そのため江戸時代には「貞節を守れなかった女性」に死刑を与えるなど、厳しい取り締まりがおこなわれていました。
現代でも夫や子どもがいるのに「貞節を守れなかった女性」は、世間から冷たい扱いや非難を受けることがあります。
「貞淑」とは?
貞淑(ていしゅく)とは、身持ちが固くしっかりしている様子のこと。
また女性としての操を守っている、清く正しい生き方をあらわします。
貞淑には「淑」という漢字が含まれています。
「淑」とは「おしとやか」のこと。
たおやかで優しく、女性としての気品に満ちあふれている様子を指します。
「淑」には「婦人としての正しい行い」という訳もあります。
つまり母として妻として、品行方正な生き方をしていることが「貞淑」。
悪い噂を聞いたことがない、ピュアな女性をあらわします。
貞淑は明治時代や昭和初期など「家庭にはいる女性」が多かった時代にうまれた言葉です。
控えめでトラブルを起こさない、質素で慎ましい女性に対する用語になります。
「貞節」と「貞淑」の違い
どちらも女性の品性にまつわる用言です。
「貞節」と「貞淑」の違いを、分かりやすく解説します。
・貞節は守るべきルール
「貞節」と「貞淑」はどちらも、結婚している女性に対して用いられる表現です。
「貞節」は女性の操を守ること。
また結婚している女性が、当然のように守るべきルール、秩序を指します。
そのため夫以外の男性と浮気をしないことを「貞節を守る」といいます。
またよく似ている「貞淑」とは、妻や母としての役割を全うすること。
好きな男性と駆け落ちし、子どもを置いて家を飛び出さないことです。
そのため模範的な生き方をしている女性のことを「貞淑な妻」や「貞淑な母」といいます。
妻としてあるべきルールが貞節。
妻や母としてのルールを守っている、清らかな女性が貞淑です。
まとめ
「貞節」と「貞淑」の違いを分かりやすくお伝えしました。
どちらも既婚女性の生き方について述べた言葉です。
貞節は結婚後に、女性が守るべき秩序のこと。
夫以外の男性と契りを結ばないことです。
そして貞淑とは、慎み深い女性に対して用いる言葉。
身持ちが固く、夫や子どものために愛情を注ぐ女性像をあらわします。
社会の変化に伴って「貞節」と「貞淑」という言葉そのものが、あまり聞かれなくなっています。