「買って出る」について
「買って出る」は、そのまま「かってでる」というシンプルな読み方をする言葉になります。
時々「買って」を「勝手」と勘違いするケースがあるので注意しましょう。
「買って出る」の意味とは
「買って出る」には、自ら進んで物事を引き受けるという意味や、頼まれてもいない役割を率先して行うという意味があります。
買うという言葉だけでも同じ意味があるものの、やはり商品を購入するという意味合いが強い為「進んで引き受ける」という意味で使用したい場合は「買って出る」とした方が分かりやすいでしょう。
また、この「買って出る」という言葉は、花札遊びの中で下座の者が勝負に参加する際は、上座から役札を「買い」とらなければいけないというルールが語源となっています。
「買って出る」の言葉の使い方
「買って出る」は、ダ行下一段活用をする動詞として使う言葉になります。
下一段活用ではなく、五段活用ではないかと思うかもしれませんが、それは「かってだす」の場合です。
「かってでる」の場合は、下一段活用となるので使い方には注意をしましょう。
「買って出る」を使った例文
「買って出る」は、話し合いの場面や複数の人が集まる場面など色んなシーンで多用出来る言葉です。
状況やシーンによっては、ニュアンスが少し異なることもあるので、例文を見ながらその解釈の仕方を学んでいきましょう。
「買って出る」の例文1
「PTAの役員がなかなか決まらないので、仕方なく役員を買って出た」
最近ではPTAの仕事が保護者の負担になっていると問題視される事も増えてきました。
実際に役員決めでは、保護者同士の押し付け合いになったり、くじ引きになるケースも多くなっているのです。
そんな中で気乗りはしないけれどしょうがなく役員を引き受けた、というのが上記の内容になります。
「買って出る」とは、必ずしも本人が心からやりたくて引き受ける際に使うとは限らないのです。
このように、しょうがなく自ら引き受けた場合でも「買って出る」を使うことがあります。
「買って出る」の例文2
「疲れている母親を気遣って、娘が弟の世話を買って出てくれた」
この例文のように、本来なら自分の役割ではない仕事を自ら引き受ける事、代わってあげる事に対しても「買って出る」という言葉があてはめられます。
反対に誰かに言われたり、頼まれて引き受ける、代わってあげる場合は「買って出る」を使うことはありません。
「買って出る」の例文3
「先生はいつも生徒の為に嫌われ役を買って出てくれている」
生徒の為を思ってあえて厳しいことをいったり、叱ってくれるのが先生です。
誰もこうした嫌われ役になりたくはないのが、本心でしょう。
このように他人の為に憎まれ役や嫌な役割、損な役まわりを引き受ける場合にも「買って出る」を使うことがあります。
つまり「買って出る」は、いい役割や大役を引き受ける事だけを指す訳ではないのです。
「買って出る」の英語と解釈
英語で「買って出る」と表現するなら“volunteer to~”という文が適当でしょう。
“volunteer to~”は、自ら率先して~をする、引き受けるといった意味があるので日本語の「買って出る」と意味が近いと言えます。
その他にも、“take it upon yourself”を「買って出る」と訳す事もありますが、この場合は「許可なく~する」「自己責任で~する」というニュアンスが強くなるので使い方には注意をしたいものです。
「買って出る」の類語や類義表現
「買って出る」は様々な使い方が出来る分、類語や類義表現も存在します。
同じような意味の言葉には、どんなものがあるのか見ていきましょう。
「引き受ける」
「買って出る」は「引き受ける」と言い換えられます。
ただし「引き受ける」の前に「自ら」「進んで」「率先して」というニュアンスがつくことを忘れてはいけません。
例えば誰かに頼まれて「引き受ける」ならば、「買って出る」の類語や類義語にはならないのです。
「申し出る」
「申し出る」は「買って出る」と完全に同じ意味ではありませんが、場合によっては言い換えとして成り立ちます。
例えば「幹事を買って出る」は「幹事を申し出る」と言い換えても内容や意味は変わらずに伝えられるはずです。
そのため、「買って出る」の類義表現として「申し出る」は問題なく使えると言えるでしょう。