「遠慮なく」
日本語には一つの言葉に対してたくさんの表現を持ちます。
たくさんある中でも「遠慮なく」という言葉は相手・状況に応じて同じ言葉でも意味が大きく変わる場合、しっかりと意味を理解して使いこなす必要があります。
それが出来ないと失敗してしまうこともあります。
「遠慮なく」という言葉は友人関係の間でも仕事関係のやり取りでも使用されます。
そのため意味・使い方を理解しておくということは生活していくうえでもとても重要です。
「遠慮なく」の意味
「遠慮なく」という意味は大きく分けて2種類となります。
一つ目は相手に対して配慮や気遣いをさせないような思いやりのある意味となります。
特に食事や買い物などで支払ってもらう際に「遠慮なく」と言うだけで相手の精神的な負担は軽減します。
その上でも優しさを含む意味となります。
もう一つは自分が相手に対して遠慮や気兼ねをなくさせていただくという意味です。
この場合は相手からの配慮に対して自分が行動する意味となり、時には「お言葉に甘えて」と頼る・甘える意味合いも持ちます。
「遠慮なく」の言葉の使い方
「遠慮なく」という言葉は相手への思いやりの言葉となり、使う際は誰かと関わっているときに使われます。
自分が使う際は「遠慮なくどうぞ」と相手に対して何かの施しをする際に使います。
また自分が使われる際は相手からの施しを受けたことに対して「それでは遠慮なく」と感謝の意味で使います。
また「遠慮なく」は友人関係での口語でも使い、ビジネス上の会話でも用いられます。
後者の場合、とらえ方を間違えてしまうと失礼に当たることもあります。
「遠慮なく」という言葉がどのよう場面で使われているかに応じて使い分けることが大切です。
「遠慮なく」を使った例文・短文(解釈)
「遠慮なく」を使った例文を紹介します。
「遠慮なく」の例文1
「本日はごちそうしていただいてありがとうございます。 お言葉に甘えて遠慮なくいただきました」
この場合、「遠慮なく」という言葉は食事をおごってくれた相手に対して感謝を込めて使用しています。
すでに食事は終わっておりますが、「お言葉に甘えて」という点からも事前に「遠慮くなくどうぞ」という旨を伝えられており、食事中に十分に食べさせていただいたということをより強調して伝えています。
「遠慮なく」の例文2
「飲み会にてみんなの前で上司が『今日はみんな遠慮なく食べてください。 私のおごりですのでどうぞ』と話していた」
この場合、上司が飲み会に参加している人に対して気兼ねなく食事を楽しんでほしいという旨を伝えるために使用しています。
それは個人に対してではなく全体に対しての発信のため、人前で「遠慮なくどうぞ」と話しています。
「遠慮なく」の例文3
「これまで私は度重なる会議の中でも発言をずっと我慢してきました。 しかし今回ばかりは我慢がなりません。 失礼ながら遠慮なく語らせていただきます」
この場合、「遠慮なく」という言葉は怒りの意味も込めての使い方となります。
遠慮なく語るというだけであれば特に問題はありません。
しかしずっと我慢してきたがもう我慢の限界ということを前提となり、遠慮なく語ることで時に場に適さない発言も伴う可能性があります。
文章より仕事中のため、前置きに「失礼ながら」ということを伝えることで不適切な内容になったときの保険をかけています。
そして溜め込んできたことを放つということになるため、「遠慮なく」は威圧・威嚇の意味合いも含みます。
「遠慮なく」の例文4
「これまで僕と彼女はお互い独身で何でも遠慮なく話せる親友だった。 でももうじき彼女は結婚する。 そうなったらこれまでのようにはいかないだろう」
この場合、相手の結婚というライフイベントにより、これまでとこれからの友人としての関係性の変化を表しています。
今まではお互いに独身のため気兼ねない関係性でした。
しかし結婚し、妻となったことで自分と相手の立場が変わった・遠慮が必要となったというこれまでとこれからの比較の意味で用いています。