「納得がいかない」、「何かモヤモヤする」。
そんな気持ちや状況を表現する言葉としてよく使われるのが「釈然としない」と「腑に落ちない」ではないでしょうか。
どちらも「心が状況を受け入れていない」という共通の意味をもちますが、使い分けにポイントがあります。
この記事では、「釈然としない」と「腑に落ちない」の違いを分かりやすく説明していきます。
「釈然としない」とは?
「釈然」は「しゃくぜん」もしくは「せきぜん」、「しゃくねん」と読みます。
一般的に馴染みがあるのは「しゃくぜん」の読み方でしょう。
「釈然」は「疑いや迷いがとけてすっきりすること」や「恨みや疑いが消えて,心がさっぱりする、晴ればれとするさま」を表しています。
よって「釈然としない」は、その反対の意味で「疑いや迷いがあるままの状態」、「心が晴れない、さっぱりしない、すっきりしない」気分を表しています。
「釈然としない」の使い方
「釈然としない」が使用される代表的な例文をみてみましょう。
・『彼の無罪は、「釈然としない」結果です』
・『説明をききましたが、まだ「釈然としません」』
・『取引先にもミスがあったのに、わが社だけが謝らなければならないのは「釈然としない」話です』
・『部下は全員「釈然としない」表情でした』
「腑に落ちない」とは?
「ふにおちない」と読みます。
「腑」とは「体のはらわた」のことです。
「腑に落ちない」は「体が落ち着かない、何か受け付けないむずむずした感じがする」という体感から生まれた表現です。
「納得がいかない」、「合点がいかない」気持ちを意味します。
「腑に落ちない」の使い方
「腑に落ちない」が使用される代表的な例文をみてみましょう。
・『あの作品が落選したのは、なんだか「腑に落ちない」』
・『決定には「腑に落ちない」点が多々あります』
・『記事によると、この事件の犯人は動機が不自然で、警察の人も「腑に落ちない」ようです』
「釈然としない」と「腑に落ちない」の違い
それでは「釈然としない」と「腑に落ちない」の違いを、改めて整理してみましょう。
いずれもあることに関して「すっきりしない」「もやもやする」気持ちを表しています。
しかし「釈然としない」が、理由や事情が明白でも「心理的に受け入れられない、納得できない」という意味なのに比べて、「腑に落ちない」は、そもそも「理由や事情がはっきりしない、何か隠されているような気がする」、もし「理由がはっきりすれば納得できるだろう」、という「理由・事情が明白かどうか」という違いがあります。
「彼が無罪となったのは釈然としない」は、無罪の理由を説明され、理解をしたが、心理的に受け入れられないという意味です。
一方、「彼が無罪となったのは腑に落ちない」は、無罪の理由に疑いをもっており、気持ちだけでなく、理由や事情から納得していない状態を表しています。
まとめ
この記事では「釈然としない」と「腑に落ちない」の違いをみてきました。
どちらも「すっきりしない、完全に納得できない」気持ちに使われる大切な言葉ですが、「理由と事情が明確で、受け入れられたかどうか」という違いがあります。
意味やニュアンスの違いを見落とさず、正しく使い分けるようにしてください。