「鈍ましい」と「悍ましい」の違いとは?分かりやすく解釈

「鈍ましい」と「悍ましい」の違い違い

ぞっとするほど恐ろしい話を聞いたことはありますか。

そのようなときはおぞましいと表現し、昔の文献でも使われている言葉です。

おぞましいには「鈍ましい」「悍ましい」の二つの漢字があります。

どちらの漢字を使えばいいのか迷う人もいるでしょう。

「鈍ましい」「悍ましい」にはどのような違いがあるのでしょうか。

この記事では、「鈍ましい」「悍ましい」の違いを分かりやすく説明していきます。

「鈍ましい」とは?

不快なほど愚かしい、鈍いという意味になります。

江戸の後期や明治期の作品でよく見られ、現代ではあまり使われないため、シク活用で目にすることが多く、鈍ましく、鈍まし、鈍ましき、鈍ましけれ、と使っていました。


「悍ましい」とは?

身震いするほど嫌な感じで、ぞっとするという意味です。

「悍ましい」の語源は悍しとなり、古語では、強く激しい、我が強いという意味もありました。

現代ではぞっとするという意味だけになります。


「鈍ましい」と「悍ましい」の違い

「鈍ましい」「悍ましい」も、読み方は同じで、昔から使われる言葉ですが、意味が違う、同音異義語になります。

「鈍ましい」は現代ではほとんど使われず、愚かという意味で、「悍ましい」は現代でも使われますが、ぞっとするという意味です。

「鈍ましい」の例文

「鈍ましい」の例文を紹介していきます。

・『彼は鈍ましいほど金銭管理能力がありません』
現代ではあまり使いませんが、使うとしたら呆れるほどできない人に対して使うことになります。

・『何しにこの部屋に来たのか忘れてしまうほど、私の記憶力の無さは鈍ましいものです』
自分自身のことが嫌いになるほどがっかりしたときに使えるでしょう。

・『あなたが彼の危機管理能力の無さを鈍ましく思うのは仕方がないと思います』
トラブルばかり起こし、危機管理能力が低い人は周囲から不快に思われるでしょう。

「悍ましい」の例文

「悍ましい」の例文を紹介していきます。

・『私はその殺人事件の話を聞いて悍ましく思いました』
殺人事件など身の毛がよだつような残酷な話を聞くときに用います。

・『あなたは悍ましい話を聞くと泣いてしまうでしょう』
感受性豊かな人には悍ましい話はしない方がいいでしょう。

・『彼女は可愛い顔をしていても悍ましいことをする人物です』
見た目の印象とは違った、怖い行動が多い人には、より恐怖を感じるでしょう。

まとめ

「鈍ましい」「悍ましい」も読み方は同じですが、意味が違います。

「鈍ましい」は現代ではあまり使われず、愚かしいという意味で、「悍ましい」はぞっとするような恐怖を感じることです。

ただ、私の記憶力の無さは鈍ましいと言ったとき、ぞっとするほど記憶力がないという意味で伝わったとしても、大きな誤解は生まれません。

それでも、おぞましいと言えば、多くの人が「悍ましい」の方の意味で解釈するので、漢字も意味もそちらを使うようにしましょう。

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